七話 六人の王女
情報を公にしてくれる王族。わざわざ調べる手間というのも、省ける。
「……」
一人を調べていけば、自然と周辺の人物の情報も入ってくるものだ。今回、俺には関係のない……いや、そうとも言えないか。
この仕事が終われば、今度は別の王女を殺せというものがあるかもしれない。今情報を得ていて、損はない。
「……ふぅ」
水を飲んで、一息。紅茶など、洒落たものもこの国には存在するのだが、俺にとっては水が一番だ。
さて、六人の王女の中で、二属性は第四王女、そして第六王女。この二名のみ。
三属性は一つの国に数人しかいないと言われるが、さすが王族と言うべきか、第一王女と第三王女、第五王女と三人もいる。資質、というやつがあるのかはわからないが。
次代を担う女王候補には、一属性はいない……そう思っていたが、ただ一人、一属性がいた。
それは、第二王女。驚くことに第一王女と第三王女と同じ三属性どころか、二属性ですらない。順当にいけば、王位継承権を持つ二番目に生まれた子がだ。
六人の王女、それらの魔法適正は、つまりはこういうことだ。
第一王女 ソーラレイ・テル・アルクド 三属性
火と水と風
第二王女 ターシェ・テル・アルクド 一属性
風
第三王女 セルリア・テル・アルクド 三属性
火と水と地
第四王女 ティーラ・テル・アルクド 二属性
火と風
第五王女 ファルネラ・テル・アルクド 三属性
水と風と地
第六王女 ヤラ・テル・アルクド 二属性
水と地
見事に、属性全てが被っている者はいない。
まあ、多属性かそうでないかが、その者の優劣を決定するわけではない。第二王女は確かに一属性だが、その力は並の一属性の比ではない。
一つの力を、一点に集中させたような破壊力、それが彼女にはある。一部のうわさでは、属性の数を犠牲に、一つの属性に特化したのではないかということだ。
だから、単純に優劣をつけるのは、愚かなことだ。