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六話 魔法という力



 そもそもの問題として、城への侵入が第一関門となってくる。王位継承権を持つ段階とはいえ、王女であることに変わりはない。そのため、普段は王族の住む城に暮らしている。


 そこには当然と言うべきか、城への侵入者などがないように警戒している者たちがいる。



「……警備隊、か。なかなか骨が折れそうだ」



 城の全体像、内部に入るための出入り口を記した地図を入手するのは、おそらく難しくはないだろう。問題は、城の警備隊だ。


 城……この国のトップが暮らしている場所。そこにいる警備は、並大抵のものではない。暗殺者である俺は奴らと正面からぶつかるつもりなどないが、あれを掻い潜るだけでも骨が折れる。


 聞いた話では、この国の警備隊は全員が『魔術師』である。それらが隊を成し、害のある者を通さない。それだけ重要な場所だということは、わかってはいるし、当然のことだ。


 ……そもそも『魔術師』とは『魔法』を使う連中のことだ。いや、正確には国の兵に属する者たちか。魔法を使う者を一般的には『魔法使い』……とでも言おうか。


 この世界には魔法という力が存在し、それぞれ火、水、風、地の四属性に振り分けられる。基本的には一人一属性しか扱うことはできず、これを一属性(プリメ)と言う。もっとも、この世界の人間のほとんどが一属性(プリメ)なため、この言い方をすることはあまりない。


 しかし世の中というのは不平等なもので、中には二つ以上の属性を扱える者がいる。それらは順に二属性(セグン)三属性(テルセ)と呼ばれる。ただ、それは魔法属性の数を表すもので、種類などはわからない。たとえば、火と水の属性を扱える二属性(セグン)がいれば、水と地の属性を扱える二属性(セグン)もいるということだ。


 だから相手が二属性(セグン)であろうと三属性(テルセ)であろうと、なんの属性の魔法を使うかは実際に見てみなければわからない。


 三つの属性を扱える者の多彩さはメリットだが、代わりに見切られやすいというデメリットもある。なんせ、魔法には全四つの属性しかないのだ。おのずと、使える魔法の属性も絞られてくるというもの。


 その点で考えるなら、今回の殺しの対象、ティーラ・テル・アルクドにはたいした脅威はない。情報によると、彼女は二属性(セグン)であるが、その属性は火と風の属性だと割れている。とはいえ、これは調べるまでもない事柄だ。王族ってやつは、国民に対して自分らの権力をアピールするため、己の手札を開示する傾向があるようだ。


 属性が分かれば、対処も容易い。もちろん、暗殺の鉄則は気づかれずに事を済ませること。万一にも対象と接触しようものなら、それは逆にこちらのピンチだ。こうして念入りに調べているのは、俺の性分と言ってもいい。対象の隙を見つけ、殺すために……調べ尽くす。


 だから今回の相手は、情報を公にしてくれるのはありがたい。俺に殺してくれと言っているようなものだ。王族ってのは用心深いのか不用心なのか。

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