表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/46

二十一話 拠点移し



「えぇっ、ここを出るんですか!」



 朝……目覚めた第四王女に、この後この村を出発することを伝える。予想通りの反応というかなんというか、驚いているのは確かなようだ。わかりやすいな。



「聞いてないですよ!」


「言ってなかったからな。準備をしろ」



 一つの場所に留まる続けるのは、やはり危険だ。なにがあるか、起こるかわからない。動けるときに動いておかなければ。


 準備と言っても、荷物なんかは基本現地調達だ。いざというときのために、得物さえあればいい。



「せっかくここでの生活にも慣れてきましたのにぃ」


「そりゃたくましいことだ」



 王室育ちのお姫様、このような逃亡生活を無事送っていけるかと心配はしていたが……どうやら、取り越し苦労だったようだ。もっとも、この生活は自分で覚悟していたところもあるだろうから、弱音を吐くのはせめてものプライドが許さないのかもしれないが。


 仮に弱音を吐いていたとしたら、ひっぱたいていたところだ。王女だろうと依頼主だとうと、関係のないことだ。



「これからは、こういうことがいつでもありうると考えておけ」


「うへぇ」



 少なくとも、王国での騒ぎが一段落するまでは、今のような生活をしていた方がいい。二、三日で拠点を変えるやり方で。


 まあ、第四王女の失踪など、そうだよ、簡単に収まる問題とは到底思えないがな。



「なんだか、私が依頼主なのにアルフォードさんの方が偉そうじゃありません?」


「生き残るためだ。城でぬくぬく育ったお姫様に従っていたら、一日と生き残れん」


「むぅ」



 本来ならば依頼主の意向に従うのが俺の……暗殺者のやり方だ。己の仕事は、すべて依頼主の指定した範囲に任せる。誰かを殺せというのなら殺すし、そうでなければ殺さない。


 だが、今回俺が受けた依頼は、この女を死なせないこと。そのためには、この女に従って行動しているようでは俺だけならともかく、この女はすぐに殺されてしまうだろう。


 こうして簡易な服装に着替え、目立たないように暮らす。それでも顔を見られれば即バレるほどに、王女というのは顔が知れ渡っている。


 混乱が大きくなればこちらとしては動きやすくはあるが……その混乱の元を抱えたままでは、動けるタイミングというものを見計らわないといけない。



「はぁい、済みました」


「よし」



 ぶつくさと文句を言いながらも、しっかりと荷物を最小限にする辺り、やはり要領はいい。


 この調子なら、すぐに慣れるだろう。城を逃げ出してからの生活にも、わりとすぐ慣れたみたいだし。適応能力があるってことだな。


 さて……次の拠点を見つけたら、一度、王国へと戻って情報を集めるとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ