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十話 三日後の夜



 それから数日間の間、俺は標的について調べていった。資料に書いてある情報を再確認する意味でも、資料に載っていない情報を得るためにも。


 資料に載っていたものとは違い、フレッシュな情報が欲しい。例えば魔法の属性など変わることはあり得ないが、変わるもの……人間関係とかだ。こんなものは、その日その日で変わっていく可能性だってある。


 調べてみると第四王女は、全体的に人付き合いがうまい。誰であっても、親や姉妹は元より警備や国民といった身分の違う者にも、分け隔てなく接する。それが、自然と己の支持へと繋がっている。ま、本人にはそんな狙いはないだろうが。


 しかしそれを良しとしないのは、第四王女の姉たち。第一王女から第三王女までは本当に優秀だが、優秀な人間ほど他者を見下す傾向にある。国民に媚び、人気を集めていると思っているのだ。特に第二王女は、見下す傾向が強い。一属性(プリメ)である彼女は、優秀な姉や多属性の魔法を扱える妹たちに嫉妬している。


 もしも、五人の姉妹の中で第四王女を、いや他の王女を貶めようとする者がいるなら、その可能性が一番高いのは……



「……はっ」



 いかん、脱線しかかっていた。俺が気にするのは、依頼主の素性ではない。標的、第四王女のことのみだ。


 彼女は、一日に一回は必ず外に出る。先日のように、馬車に乗ってな。外出の間は、手を出さない方が賢明だ。警備といっても完璧ではない、外であればこそ隙も生まれるだろうが……騒ぎなるのが早すぎるな。あせってやることじゃない。


 城の地図と照らし合わせ、調査の結果第四王女の寝室が判明した。夜は、基本的に一人で寝室にこもっている。部屋の外に警備はいるが、部屋の中にまでその目はないということだ。


 つまり、一人きりになる夜を狙う。部屋への侵入は、外へとつながる窓から入ればいい。第四王女の部屋は、ざっと高さ14、5メートルといったところか。魔法によっては飛行に特化したものもある、それが使えれば楽なのだろうが……まあ、ジャンプすれば届く位置だ、問題はない。


 夕食は家族全員で、入浴は大浴場に使用人を連れて……その後の行動パターンは、就寝までは基本的に部屋だ。勉強熱心で、日々魔法の勉強とかをしている。よくやる……王族でないどころか魔法も使えない俺には、その気持ちはわからない。



「……問題はない、か」



 城の敷地内に侵入する方法も、難しく考える必要はない。警備の隙が生まれないことがわかったなら、警備の目の届かないところから侵入すればいいだけのこと。


 城に近い建物の、その屋上から飛び、城壁を飛び越える……この手が確実そうだ。城壁を飛び越える輩がいるとは思わないだろうし、夜に実行すればさらに目立ちにくい。城の周りの警備が固い分、敷地内の警備は幾分か薄い。城内への侵入を許さないために、場外の警備を光らせているのだから。


 敷地内から城内へ入ることができれば、あとは簡単だ。第四王女の寝室へ向かい、彼女を殺害。事がバレる前に、さっさと城を脱出する。


 これまでより難しい依頼だ。が、だからといって難しく考えすぎることはない。標的がでかすぎると、物事を難しく考えてしまいがちだが……やることは、今までと同じだ。


 決行は、三日後の夜……そこで、依頼を遂行する。

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