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俺はセナを家まで送って母と我が家に戻った。


まずオレンジジュースをエールのように一気飲みしてオヤツのメロンパンをローストチキンのように食べた。


ヤニ欲しいな…。


そして着替えてセナに伝えた約束の場所に行こうとした。


「蓮ちゃん?とこに行くつもり?」


「ちょっと…お外に」


「怪我してるからダメだよ」


母は笑顔で止めたが…握っていた箸が折れていた。


こうなると母は絶対外に出してくれない。


仕方ない…ごめん母よ!


「お母ちゃん…お外に出て描きたい物を探したい…ダメなの?」


「そうなんだ♪……いや!き、気持ちは分かるけど…右手が折れてるでしょう?大人しく休んでね」


これでもダメか…。


仕方ないな最終手段を実行するしかないようだ。


「お母ちゃん…左手でも絵は描けれるよ」


「それは…そうだけど…でも!」


「へぇ…片手を怪我したぐらいで諦めるほど絵描きってそんな生易しい世界なの?」


それを聞いた母はショックを受けた表情で急に座り込んだ。


しまった!つい…子供らしくない…現役の画家に生意気な事を言ってしまった。


「そ、そ、、そうだよね…実はね…母さんも両手を骨折した時があったのよ」


「えーー!そうなの?痛かったの?もう大丈夫?」


「うふふ…心配してくれてありがとう…連ちゃん♡…その時…私も必死に絵を描いたわ」


「両手が折れたのに?どうやって?」


「口で筆を振ってたわ…」


まじか…それはちょっとやめて欲しいな…。


「それを見たまー君に口を布で塞がれてね…」


「そ、そうなんだ…」


父よ…よくやった。


「でも…それぐらいで諦めるほど私の絵に対して情熱は生半端じゃなかったんだ…それでも必死に絵を描いたわ」


「えっ?…まさか…絵をかいたの?どうやって?」


「うん…鼻の穴に筆を入れて絵を描いたわ♪」


……母よ、それは二度とするな…。


息子として…その姿だけは見たくないんだ。


「私としたら…描き手の精神を忘れるとは…さすが私の息子だわ」


母の描き精神は凄かった。


それで日が暮れるまで帰って来る条件で外に出れた。


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