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警官は母に罰金と罰点の用紙を渡して速やかに逃げた。
本能的に関わらない方が身の為と悟ったようだ。
「お、お母ちゃん…父ちゃん…ごめんなさい」
「蓮ちゃん!…ああ…」
「ユリカ!」
「むっ!」
母は倒れそうな自分の体を力強く持ちこたえて持ち堪えた。
「いけないいけない…母として怪我した息子の前で…倒れる訳には」
母は強く偉大だった。
「蓮のお母さん…すみません」
「あら?君はセナちゃんの…?」
「はい…姉の優奈です」
ルシールが両親の前に出て謝った。
そう言えばこいつの今の名前は七瀬ユナだったな…。
「蓮ちゃんが私が五人の男達に虐められていた所…助けてくれました…それで腕が…」
「まあ!そうだったの?まーくん…蓮ちゃんが人助けを…うう…お母さんは誇らしいわ」
怒られずに済んで良かったとほっとした。
「蓮…相手は?」
チッ…父はそこを見逃さず相手のことを聞いてきた…。
怪我させた時点から怒られる覚悟は出来ていて素直に謝った方がいいと思った。
「ご、ごめんなさい…全員…鼻を折ってしまったよ」
父は僕を殴るように手を上げた。
ピンタで済むならそれでいい…小遣い減らされるよりマシだ!
しかし…上げていた父の手は俺の頭を優しく撫でた。
「あはははは!そうか!鼻をへし折ったか!それでこそ我が息子よ!そうだ…次見つけたらどこかに埋めてしまえ」
……なんちゅう父だ!コイツはよ…。




