ぼく、幼稚園児になったらしい
僕、ヒーローになるみたい。朝起きてすぐ、そう思った。
朝起きて頭の中にある記憶は、多分夢だ。よくあることだ。昨日はきっと遅く寝て疲れたんだろうと思うけど、不思議なことに昨日のことはなにも覚えていない。相当疲れて寝落ちでもしたのだろうか。でも、そう考えてる時間もない。だって僕は、学校に通う高校2年生だ。時計は7時を回ってる。かなりやばいけど、あまり焦りを感じない。そう思ってるうちに、階段を登ってくる音がして、誰が僕を起こしに来たのだろうかと思った。きっと母だろう。
「おはよー、おきがえしましょうね」
なんだこいつ、馬鹿にしてるのかと思った。けど、僕は内容が理解できない。だって、目の前にいるのは知らないおばさんで、僕より遥かに高い。これはまるで僕が小さい子供のようだ。考え込んでいると、優しい声で、まだ眠いのとか、ばんざーいとか聞こえてくるが全く理解ができない。
「はい、くるりんしてー」
その掛け声で、くるっと肩を回さらて僕は360度回った。それに鼻で笑われて、180度プラスされた。そこには大きな鏡があって、昨日まで着ていた長いズボンではなく、紺色のハーフパンツ、ブレザーではなく、四角形の形でボタンがついてるコートみたいなやつだ。そして最後に黄色にバックに、帽子を持たされて、幼稚園児のカッコの僕が鏡の中で完成された。