8. ジョナサン・ポルチーニ=ハイム襲来!? はあ? 豚小屋の間違いでしょ!!
本日二度目の更新ですっ><
豚が、そこにいた。洞窟の入り口に、豚としか形容できない何かがいた。
説明しよう。
緑色の髪の毛を生意気ツインテールでセットした、我らがプリティ&キューティのパティちゃんは、山賊さんの臓腑を撒き散らした洞窟で、困っていたんだ!
まろやかな臭いには慣れた。
運よく腸管が切れてなくて、最悪の臭いは避けられた。
歩き疲れてヘトヘトだった。
だから探した寝床が、獣の皮を被せた草の塊で、絶句した。
病気の温床のような、それ。
そんなところで寝るくらいなら、蹲って過ごす方がマシ。
早くも、異世界の洗礼を受け、ストレスがマッハで上がっている。
狼や蜘蛛との戦闘に加え、山賊との命の駆け引き。
たった一つだけ良かったことがあるとすれば、洞窟に食糧と思しき干した肉がぶら下げられていたことだ。
その、固くてしょっぱい肉の欠片を、ようやく噛み、柔らかくして、飲み込んだ。
不味かった。
パサパサで、紙を食べているような気分だった。
根源的な恐怖や理不尽よりも、こういった生活水準の低さこそ、心を折ってくる。
なぜならば。
恐怖も理不尽も、過ぎ去るまで待てるからだ。
しかし肉の不味さ、寝床の確保の不安、生活の見通しの無さ。
これらは、膨大に広がる将来で、絶えず纏わり続けると思われる。
その大きさに、押し潰されるのだ。
「……ぐすっ。」
今ならば、何者にも犯されることなく、自らの意志で、その生涯を終えられる。
パトリツィア・デル・フィオーレの物語は、すべての存在を豆腐のように切り裂く、邪龍の双短剣が痛みもなく終わらせる。
その、妖しい艶に濡れた左手の決意を、眺めた。
「ンッッッッぉ待ちください! 我が陛下ッ!!」
豚が、そこにいた。
怪しげな蝶のマスクを着けた中年ハゲ。豚の耳を持ち、汚ねぇ体を焼豚のような亀甲縛りでドレスアップした、網タイツと真っ赤なピンヒールを装備する変質者。
外したボールギャグから涎が滴る綺麗好きな豚だった。
先祖返りの半獣人だ。
変質者のオッサンにしか見えない。
見た通りのドMだった。
「お初にお目にかかりますはい! 拙豚は、ジョナサン・ポルチーニ=ハイムとお耳汚しの栄誉を賜りたく存じ上げまする、流浪の豚奴隷にございますはい!」
「え、っと。」
さあ、どうしましょうか緊急事態ですよ皆さま!
メスガキ×マゾ豚!
ワクワクが止まらない組み合わせですね!
「はい! 先ずは状況をご説明いたします我が陛下!」
「……うるさい。」
「あふんっ♡ ありがとうございますれば続けさせていただきたく存じます。拙豚は、ここから程近い都市、イェリンガ市の冒険者ギルドより派遣された、冒険者にございます。」
豚は、パティを刺激しないよう近づかず、入り口を塞ぐこともなく壁の方を向いて、パティに話しかけ続けた。
ブリーフのような白いパンツか覗く、豚の尻尾がピコピコと動いていた。
嬉しそうだった。
「――そこで、調査のために使いパシリというご褒美を賜りました拙豚に、まさかお嬢さまのような方と出会える奇跡まで、」
「わかった。」
「ああっ♡♡ ご承知いただき、恐悦至極にございますぅ。」
ただただ、気持ち悪かった。
発言を切られたことを、悦びへと昇華した豚。
「ところで我が陛下?」
「なに?」
「心地好いお声をありがとうございますれば、もう少し罵倒を混ぜていただけると、拙豚は至上の悦びを得られますが、本題は、拙豚を、打ってくださいませんか? という提案で、」
「なんで。」
「あひぃ♡♡ せ、拙豚は、お仕置きで魔法が滲み出る俗物にございま、」
グサリと。
気配を、背中を預けた洞窟の空間と交換して、音もなく近付いたパティは、右手の邪龍の牙の片割れを、豚に突き立てた。
「ちっ。」
突き刺したかった。
「――おほぉおおおおっっっっ♡♡♡♡♡♡ 『お色直しをしなくっちゃ』ああんっ♡♡♡♡ 汚れ落としぅっ♡♡♡♡♡」
それは、百数十年前に現れた最強の魔導師の、魔法だった。
身嗜みを整えるためだけの、優れた魔法。
柔らかな光が豚から溢れ出し、パティを包み込んだ。
光は、心地好く全身を擽って、パティを〇かせよう、、、としてるわけじゃないから大丈夫だって、軽く気持ちいいだけだから、ほら、気付いたら血の跡とかとれてるし、髪の毛のハリツヤとか見てよね!
「すごい。」
「ありがとうございます。ああ、ところで我が陛下お名前を、お聞かせ願いたく存じます。」
パティの脳裡に、その名が浮かんだ。
「パトリツィア・デル・フィオーレ。」
「おおおおおおおっっ! かの高貴なる、妖精の一族の!」
「詳しいのね。」
「拙豚は、さる伯爵家の末席を汚す豚でありますれば。」
「そう。」
いまだ、壁を向いたままのド変態の尻尾は、ピコピコと嬉しそうだった。
~to be continued~
メリークリスマースっ><
性夜を汚しに来ましたよ??
さあ、ヒドいキャラが増えましたよーっ><
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