57. はぁ!? このパティちゃんさまを手折ろうなんて、性欲ぐらい持ってきなさいよ!!
やっぱり体力的に問題があったパティちゃん。
昼夜の化身との戦いでしっかり後れを取ってしまうんだ。
「どうした? 初めの威勢はどうした??」
「はあ!? 吠える割にボクを捉えられないザコに言われたくないんですケドー!」
吠えているのはパティちゃんの方だった。
そんなふたりの戦いは、奇妙、の一言に尽きる。
昼夜の化身の身体は、霞そのもので、目鼻が存在していることに違和感を感じるほどだ。
それに比べれば、攻撃された時だけ存在が揺らめくパティちゃんの方がずっと、まともに見える。
しかし、お互いが何かをしたと思ったとき、パッと光ったり、何かが横切ったりと、何が起きているのかイマイチわからない状況であった。
それでもベキ子やロッちんは、援護をしなければならなかった。
豚畜生は死に続けるだけで良くて楽だな、なんて思ったりした。
「ってゆーか? そっちだって別に決め手があるわけでもなし??」
「言うではないか。」
昼夜の化身の権能は、幻想を具象化し、具象を幻想に溶かすのだ。
ゆえに、ここにないものをいくらでも呼び出せた。
しかし、それではパティちゃんには効かないのだ。
精々が、周りの者を遠ざけるだけの効果しかない。
その意味がないことを、昼夜の化身もわかっていた。
だから。
勘所が掴めるまで、のらりくらりと遇っていたのだ。
昼夜の化身は、幻想を具象化する。
それはパティちゃんも例外ではない。
だから、首を掴んで折れたのだ。
「痛ったーいっ! なにすんのよ!」
「ふ。やはりただの獣。」
「はあっ!?」
パティちゃんの隙を突いて、身体の輪郭を溶かさせなかった。そして、気配として溶けるパティちゃんの身体を、光で炙ったのだ。
対して、パティちゃんの武器は、邪龍の双短剣、その左手の牙しかない。
魔女の毒は、対象に触れられなければならないからだ。
ゆえに、パティちゃんの攻撃は単調になってしまう。
ゆえに、パティちゃんは奴隷や下僕を巻き込んで、偶発的に隙が出来ることを狙っているのだ。
しかし。
その戦法は、古狸には通用しない。
だから、パティちゃんの体力ばかりが削られて、不利になっていくのだ。
「くっ。。。」
誤魔化しもきかなくなっていく。
当然、ベキ子やロッちんも疲れ始める。
元気なのは、豚畜生だけだ。
「……詰まらんな。」
そして。
ついにパティちゃんは追い詰められた。
首を掴まれたときと同じく、昼夜の化身の手が、パティちゃんの身体に触れて、具象化していた。
いや、正確には、心臓を掴むように、胸の真ん中に腕が、突き刺さって見える。
「うぐっ。」
「もう少し、やると思ったが。」
絶体絶命のパティちゃん。
「くっ、、、殺せ!」
「負け犬が吠えるな。」
しかし、勘のいい読者諸君なら、わかるだろう?
こんなとき、あの男が来ないハズがない。
「パティお嬢さま。お戯れにしては、度が過ぎませんか? 私を差し置いて。」
正装を着崩してカジュアルに、カラフルな色遣いでコミカルに。
「貴様――戯けた道化師ッ!」
「ええ、昼夜の化身さま。しかしあの程度の拘束では、私を留めておくことなど叶いませんよ。」
謎めいたイケメン、ジェストが今一度、現れたのだ。
~to be continued~
ごめんなさい! 日曜日も18時の一回更新になっちゃいます。





