55. 殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス
昼夜の化身。
その尊大な自尊心の持ち主は、常に王座を狙う古狸であり、他の化身が数代以上の代替わりを経験しているにも拘わらず、神話の頃の初代が、いまだにトップを張る一族だ。
ゆえに。
その中での上下関係は硬直していて、絶対的なのだ。
「じゃあ、届けたから遊んでくるね。」
「ごきげんよう。」
「ふむ。」
そう言って、雷鳴と共に消えた嗜虐と被虐の化身。
あ、パティちゃんこと一輪の黒い牡丹も、目覚めているよ! 今はダウナータイムかな? 小声でずっと「 」なんて言ってて怖いんだ!
そんなパティちゃんたちのご一行さまの馬車だけど、豚畜生が魔法で展開するまでもなく、パタパタと開いてどこかに仕舞われちゃったんだ。
つまり。
愉快なご一行さまたちは、昼夜の化身とかいう、ものすっごくヤバそうな偉い存在の前に放り出されたっていうワケ。
しかも。
最も戦力になりそうな命知らずはブツブツ何か言ってるだけ。最初から絶体絶命とは、このことかもしれないね!
どちらにしても、昼夜の化身がどうしてパティちゃんたちを呼び寄せたか、ということが重要だと思うんだ。
「……さて、ゴミども。」
あちゃー、終わったー。
豚性廃トリオは最悪のシナリオしか考えられない!
だから。
「ぱぱぱぱぱぱぱてぃお嬢さまぁあああああああ!!!!」
性女はパティちゃんの肩を、前後にガタガタ揺らして正気に戻そうと必死だし。
「我輩は循環の化身殿下にお目通り願いたく。」
廃エロフは、関係ないフリを始めたぞ。
「むふぅ。」
あ、豚はすでに空気になって正座してる。
「ああもぉ! こんなことならお嬢さまの純潔散らしておくんだったぁ! ……あ、えーっと昼夜の化身さまとお見受けいたしますぅ!」
「なんだ?」
その姿は、光る朧。蔭る灯
薄暮の霞。
誰彼れと彼誰れに紛れる幻影。
其は、昼夜の化身。
幻想を具象に落とす奇術師。
そんな理不尽に、性女は問う。
「お色直しの暇を頂戴いたしたくぅ!」
おや、最期に一発、みたいな発想で良いですね。
「なぜ、儂が待たねばならない?」
「では、この場でもぉ!」
「くどい。」
「申し訳ございませんぅ!」
いやはや、すごいと言うべきかな?
「 殺ス殺ス殺ス殺スお前誰?」
グリン。
と、このタイミングで、首が回ったようなパティちゃんが昼夜の化身を認識したんだ。
「礼儀も知らんとは。」
「ボクは至高の黒い牡丹、で?」
「昼夜の化身だ。」
「そう……死ぬ?」
「獣が。……いやはや、賊として引っ捕らえようと思うたが、しかし。」
「死ねよ。」
パティちゃんは話も通じず、とりあえず昼夜の化身を殺すことにしたんだ。
得物は、何者も断つ邪龍の左の牙。
パティちゃんは、八つ当たりしたい年頃なのだ。
~to be continued~





