51. 殺し愛ましょう……♡
緑色の髪をツインテールにした、高嶺の花の女王。
メスガキの旅の目的は、「自分より強い雄に負かされて、発情メス犬になること」だ。
ゆえに。
劣情の視線を向けてくる相手とは、戦うより他ない。
ゆえに。
館のぐるりに蜷局を巻いてる邪龍を、ショーの間に密かに身体に纏わり付かせていたんだ。
ゆえに。
高嶺の花の女王は開始直後に影に溶けた――瞬間、パティがいた頭上を段平が鈍く閃いた。
貪食の眷属2位の右腕は、重く幅広な剣を振るったとは思えないほど揺るぎなく、パティがいないと見るや臆面もなく首を反対に向ける。
言葉の割に、武芸を弁えた豚だった。
攻撃をする瞬間、最も大きな隙を晒す。ゆえに敵の攻撃を避け、そして死角に現れて反撃する者が多いことを、知っている豚だ。
当然。
パティちゃんが巨豚の背後の影から溶け出して、娼婦が背中に撓垂れかかるかのように絡み付いてくるところを見ていた。
パティちゃんは、巨豚の背中に胸を押し付けて、右手は豚の前に回して愛しい者を掻き抱くかのように乳首をクリクリ捏ねる。そして上げた左足の太ももを擦り付けて、切ない身体の疼きを知ってほしい、添い寝の女のようにしっとりと巨豚に張り付いた。
何者も断つ、邪龍の左の牙。
その、黒い刃を首筋に滑らせれば、巨豚といえどもタダでは済まされない。
だけれども。
パティちゃんの誤算のひとつ目は、この巨豚にも感度3,000倍の魔女の毒が効くと思ったことだ。
しかし残念だったね。
相手は、貪食だ。そういった類の性的興奮を、すべて力に変えるタイプの戦闘狂だ。パティちゃんの毒では怯まないのだ。
ゆえに。
すべてを見ていた巨豚が、貪食の眷属2位が、パティちゃんの攻撃を許すハズはなかった。
伸ばした左手を掴まえて引っ張って、パティの体重など無いかのように軽々と、背中に提げた棍棒を振り上げて、そして振り下げるように叩き付けたのだ。
「がはっ!」
その刹那の間に、メスガキと巨豚の周りでも色々とあった。
周りには、パティの仲間の豚性廃トリオと、巨豚の仲間の豚どもがいた。敵味方なく豚率の高い戦場だった。
敵も味方も、メスガキと巨豚を助けに向かう選択をする者と、周りの敵を排除しようとする者に分かれた。
廃エロフは、即座に触手を振るって周りの豚どもを弾き飛ばした。
性女は躊躇いなく、おっぱいファイヤーをメスガキと巨豚の方へ放った。
変態豚畜生は、パティちゃんが凌辱ショーで純潔を散らすところが見たくて、アリーナ席の確保を急ぐ。
一見すると、パティちゃん陣営が優勢のように見える。
しかし。
パティちゃんが叩き付けられて、状況が一変する。
「あァッ!!」
巨豚は振り向きざま、段平でおっぱいファイヤーを切り裂いて消し、呼吸をおかずに肩口から性女に突っ込んだ。
当然性女は弾き飛ばされて、晩餐室の壁に叩き付けられる。
「――がっ!!」
直ぐに戦線復帰は難しいだろうね。
次に巨豚が目を付けたのは廃エロフ。
しかし、廃エロフも然る者で、水の触手を段平に絡ませつつ、巨豚も無力化したかった。
だけれども。
技巧的な技であればあるほど、初見殺しの雑魚払い技になっていき、真の強者に立ち向かう技としては弱い。
この巨豚。貪食の眷属2位と言うほどには強者だった。
邪龍とて、破壊と破滅の眷属2位ではない。その順位が強さの絶対ではないとしても、それでも、巨豚が弱いことにはならないのだ。
水色頭の廃エロフでは、勝てないのだ。
巨豚は、触手が絡まる段平で、強引に廃エロフをブッ叩いた。
当然、壁まで飛んで当たって落ちる。
声もなかった。
「ぐふふふふァ。」
こうして、パティちゃんの奴隷二人が、無力化されたのだ。
まだ、パティちゃんもダメージから回復しきれず動けない。
「オイ! 手前ェはどうすんだァ? あァ? 豚ァ?」
お前も豚じゃないか、などとは言ってはいけない。
「拙豚は、こちらの我が陛下が、拙豚の意に沿わない方に発情の視線を向けて、抑え切れない獣欲のために我が陛下自ら腰を打ち付けて純潔を散らす瞬間を見届けたい豚でありますから。」
初めから、まだパティちゃんの敵う相手ではないと見切っていたのだ。
「イイ趣味してるじゃねェか! 良いだろォ。見せてやろゥ!」
のっしのっしと迫る巨豚。
「――!!」
「惜しかったなァ!」
神速の一撃。
豚畜生が、どこぞから取り出したレイピアの閃きは、瞬きの間に潜んで確実に、巨豚の目から脳を突き刺すハズだったのだ。
段平が、盾のように顔を遮っていて、針の先端は届かなかったのだ。
「いえ、拙豚は確かめたかったのでございます。」
「ほォ?」
「これで、心置きなく拙豚自身を憎めるのでございます。」
「なるほどそうか。」
その言葉が真実であると、巨豚はわかったのだ。
だから、興味が無くなるのだ。
「うっ……う。」
パティちゃんは、腕を引かれて宙吊りだ。
もはや、何も出来ないかのようだ。
「おい、女ァ。」
「くっ……。」
「オレさまに、喰われろ。」
ドクン♡
貪食は、喰われるものに歓喜を与える。
そして、メスガキは喰われるときに歓喜を覚える。
その相性は、ピッタリだった。
パティちゃんが気配から戦況を察したときには、心が敗北を認めていた。
「あ。……あ。あ♡」
ねえ、パティちゃん。
「あ♡ あ♡ ああっ♡」
発情メス犬に、完堕ちしよ?
ほら、淫紋も脈動しはじめたよ?
「2位……さまぁ♡♡」
~to be continued~
パティちゃんはどうなってしまうのかっ><
がんばえ~パチーたんっ!!





