49. なかなか見どころがある豚じゃない??
「突っ込め!」
って言われたら、突っ込むしかないのが、下っ端の悲しいところ。
邪龍の一口で正面玄関が、ゴッソリ削られちゃったから「そこに突っ込めよ?」って言われてるの、わかっちゃう。
蟲さんは涙目になりながら、せめてもの意趣返しなのか、半ば前転するように背中から突っ込んで、そして自分の体を詮にしたんだ。
「きゃあっ!」
「やあんっ!」
「むほっ!」
「むっ!」
放り出されたのは、パティちゃんたち愉快なご一行さま方だ。
綺麗な着地を決めたのは豚畜生と廃エロフ。
何とか、着地の恰好を保てたパティちゃん。
そして無様にベチャリと落ちたのがベキ子。
「あっぶなー! なにやってるの! 蟲のクセに!」
「いたたたたたぁ。」
「ふむ。ここは、それなりにセンスが良い屋敷であろう。」
「ふごふごっ!」
ここが敵陣奥深く、騎士王の庭方面指令本部と知ってやってきたワケじゃないご様子。
外のぐるりは敵だらけで、邪龍が屋敷に巻き付いているから辛うじて様子見をされているんだ。
緊張感を持ちましょうね!
「おォい! 誰の許しがあって、入ってきたんだァ?」
エントランスから緩くカーブして上がる二階フロアに、醜悪な巨豚がいた。
それは、貪食の眷属2位。
すべての喰われるものの、支配者の眷属。
何ものも、恍惚に浮かれて平らげられることを望まざるを得ない、悦楽と暗愚の象徴。
穴という穴の暴君。
真正のサディスト。
それが、貪食だ。
「あァ? おい、メス。メスがいるじゃねェか。」
ニタリ、と醜悪なデカい豚が嗤った。
「なに? 豚。」
返してニタリと、メスガキも嗤った。
「お前、オレさまに喰われに来たんだろォ? さっさと股ァ、開けよガキぃ!」
「は? まず細マッチョになるまで鍛え直して、で、お風呂に入って清潔になりなさいよ! で、あとはそうねえ、、、顔から上が好みじゃないから、取り替えてきてくれる?」
「あ?」
「ボクを無理矢理犯そうっていう、その態度はすっっっごく嬉しいから、それ以外を全部なんとか出来ないかな??」
おっと。
パティちゃん、まったくブレないじゃないか。
「ぐふっ……ぅはははははははははは! そうかそうか! おい! 者ども手ェ出すなよォ?」
「なにかおかしい?」
「いや、気に入ったァ! 今すぐここでブチ犯すも一興。だが、余興を挟んで愉しむっていうのでも良い雌だ。メスガキだなァ!」
「そう。……案内しなさいな。」
「喜んでお連れしてやろう。お前が今日の晩メシだ。ぅははははははァ!」
そうして連れられたのは、晩餐室だった。
こういった屋敷の場合、一番大きな部屋が晩餐室、というのはよくあることで、すぐ近くに遊戯室があったりするぞ。
そんな晩餐室の扉を開くと、どうやらステージと観客席のような配置に変えられていたんだ。
その、ステージの真ん前の席は二つ。
当然パティちゃんと巨豚が座るのだ。
「それで、何を見せて楽しませてくれるって?」
「ン? まあァ、今夜の晩飯にしようと思ってた食材だ。」
「それは愉しそうね。豚のクセにセンスが良いじゃない。」
うん。
どっちも悪だから、通じ合うものがあったのかな?
ナチュラルに馴染んじゃうパティちゃんだ。
「おォい! 始めろ!」
その掛け声で連れて来られたのは、首輪に繋がれ、痣がいくつか見える男女。
かつて、パティちゃんが印を与えたリア充、アレクとシャーミィのカップルだった。
「あら、趣向を凝らすじゃん?」
~to be continued~





