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40/63

40. ああ^~♡ カッコいいならぁ♡ もう何でも良いよね♡



「さて、話を聞こうじゃないか。」


 先が揺らめく湖畔に、パラソルを突き刺して優雅なティーセットを並べて、ジェストは事情聴取されていたのだ。


「ええ。」


 ジャラッ。


 首に巻かれた首輪と続く鎖。その重厚な輪っかの連なる端っこをパティちゃんが持っていた。


「私は、そう。道化師(クラウン)だから、依頼があれば、華やぎに参るだけ。」

「なるほど。依頼主が誰か、言わないと。」

「ええ。」

「そうかい。わかった。」


 パティちゃんは黙って見ていたんだ。


 何故かって?


 イケメンとイケメンが、話し合っていたからだよ。

 片やニヒルな笑みを崩さない、囚われのイケメン。

 片や柔和な笑みを(たた)えつつ、眼光の鋭いイケメン。


 そんな二人が真っ直ぐ見つめ合っているのだから、見守るしかない。

 

 隣では吸着の化身たるヴィヴィも、観戦に徹している。


「依頼主がいるなら、昼夜の化身が関わっていないことが明白になってしまうじゃないか?」

「さあ……どうでしょう。」

「それにジェスト。君は傷だらけだった。……昼夜の権能の為せる技ではないよ。」

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。……それはご存知でしょうに。」


「ああ、わかっているよ。」


 そもそも。


 知謀の化身に会いに行き隊は、パティちゃん以下、いつもの愉快なパーティメンバーであって、ヴィヴィやウィリアムは、砂漠の先の『聖都』までしか付き添わない。


 ある意味で、この尋問だってお遊びに過ぎない。

 すべての事象が、悪ふざけかもしれない神代だ。


 膨大な将来の空虚を埋めるために、すべての存在が、それぞれ好き勝手生きている世界が神代だ。その空間に毒されて、何者も、何者かであるならば、その本性をさらけ出さずにいられなくなっていく。


 その、スリルを酒の(さかな)微睡(まどろ)む土地なのだ。


「ねえ、パティちゃん。」

「? お姉さま?」

「ポルチーニ=ハイム卿はおいて、他の二人はただの奴隷、なのよね?」

「うん。」

「このまま連れていくの?」


 観戦しながら、こっそりと話し合っている二人だった。


「さぁ? どっちだって構わないよ。」

「そう。」

「うん。」


 話し合いながら、視線は完全に、イケメン二人に釘付けだった。


「貪食の化身と卑近の化身が手を組んでいるのは、知っているね?」

「そういう噂を知らない者はもぐり(丶丶丶)でしょう?」

「へえ、そんなふうにはぐらかす(丶丶丶丶丶)んだ。」


 貪食の化身は野心家として知られ、何者も喰らう奔流であり、巨大な豚の一族だ。そして卑近の化身は、そもそも魔王の懐剣だった。実際に、剣の見た目をしているのだ。

 しかし、その高貴で傲慢な自尊心が、在り方を(いびつ)にしたのだろうか。


 今は、偏屈な一族だといわれている。


 あ、豚畜生と貪食の化身は関係ないよ! ちょっとだけ血が混じってるけど、むしろ、ベッキーの方が貪食だよね!


「はぁ……♡ イケメンいいわぁ♡」


 パティちゃんはブレないね。

 というか、パティちゃんには、黒幕が誰か、なんてどうでもいいんだ。

 その目的を邪魔してくるなら話は別なんだけどね。


 だから。



 ジェストを捕まえて、ちょっと堪能したら、逃がしてあげるのさ。そっちの方が楽しいから。









~to be continued~


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