31. え? マジで王様こんな弱いの!? 嘘でしょ。。。うそでしょーっ??
「言わせておけばっ!」
忠誠を誓う者の心が真っ直ぐであるほどに、その狂信的な行動を誘発してしまうのだろう。
殊、ここは王の御前であり、そして集うは近衛だ。
「控えろ!」
「――っ! っ!」
玉座から続く数段の階段の下、王に最も近く侍る親衛隊長が、若い親衛隊員を諌める。
「陛下、お耳汚しをいたしました。」
「――よい。」
王が、初めて口を開いた。そしてそれが、ある意味で予定調和のように、この場を整える仕切りとなる……ハズだった。
「え? 何を勝手に話進めてるのー? 今のはそこのおバカさんがボクに粗相を働いたから、その飼い主のおーさまがボクに謝る場面でしょー? もしくは首を切るとかさー。」
「は?」
「ねえ、舐めてんの?」
出来ればペロペロと舐めてほしいパティちゃんだ!
そして、パティちゃんの言葉にキレちゃったのは、さっきの血気盛んな親衛隊員。
「貴様ァ!」
儀典用かと見間違う煌びやかな甲冑がガチャガチャと、腰に佩いた剣を抜いた。
「はっ!」
対するパトリツィア・デル・フィオーレ。武器など持ってはいなかった。
盾も持っていない。
だがしかし。
パティちゃんは冷静だった。
なぜかって?
ここに至る道中、あれ程パティちゃんは理不尽を目にして来たのだ。
その理不尽は、意志の強さに従っていたのだ。
だから今朝、奴隷契約を通じて、性女と廃エロフに指示を飛ばせることに気が付いた。
『手段を問わずボクの下へ集え』と。
単純な命令。しかし、それは距離を超越して奴隷二人に届いたのだ。
ゆえに。
パティは慢心することなく、ただ、信じて叫んだ。
「ぶぅたああああああああああああああ!!!!」
なぜ、小指に指輪がハマっているのか。
なぜ、そこから豚の気配を感じるのか。
それは、奴隷契約ではない。
ただ、主従の誓いが目に見えているだけだった。
そして。
その誓いにも距離などないのだ。
この世界、強者は脈絡なく眼前に現れる。
それは、強者だからではない。
距離という概念が、無意味だということを知っているからに他ならない。
畢竟。
豚は、召喚される。
「むほほほほほほほほほぉおおおおおおおお♡♡♡♡♡♡」
そしてバッサリと切り捨てられた!
「豚ぁ! 弱ぁっ!」
しかし、切られた断面がピタリと貼り合わされていくぞ!
そう、それこそが回復役の豚が、盾になっている理由。
豚を殺すのは簡単だ。
だが、殺し切るのは難しかろう!
「あふぅん♡ 我が陛下、ご褒美賜りますぅ♡♡」
バッサバッサと切られては、ペタリペタリとくっついてパティに近寄らせない豚!
しかし復活するのは体だけ。つまり、縄化粧が解かれて全裸に近づ、
「でかした。」
それは親衛隊員や、その場にいたすべての者の瞬きを捉えた刹那。
パティちゃんは死角から、親衛隊員の甲冑に触れたのだ。
「イひっ!?」
忽ち力を失って、剣をその場に取り落とす。そして抗いがたい強制的な快楽に縛られるのだ。
知っているかい?
パティちゃんの爪には、エロエロなお姉さまに頼んで魔術が入っているから、感度3,000倍の敏感タッチが出来るんだ! 『魔女の毒』は、触れたという事実が重要なのだ!
主な使い道は、パティちゃん自身に、だぞ!
捕まってた3日間、、、まあ、そういうことですっ><
「豚。ボクの武器を。」
「ははっ!」
スラリと抜かれた右手の牙で手枷を裂いて、左手の牙を甲冑の隙間に差し込んだ。
「死ぬよ?」
それは、明確な脅しだった。
しかし王は応えない。
「そっか。」
ズルリと滑らせた。
ピクンピクンと痙攣していた体は首を失って、ビクンビクンと痙攣して果てた。
実に羨ましいプレイだろう? メスガキが安らぎを与えてくれたのだ。
「これが、この国の対応? マジで?」
「この程度の近衛の規律に、傲慢でお粗末な対応とか、未開の部族と話しているのかなー? ねー? どうなの? おーさまなんでしょ自分の言葉で言えないのぉ??」
同時に、パティは探っていた。
ところでさ。
みんな不思議に思わない?
どうしてパティちゃんは、邪龍の気配を纏わないの? って。
パティはね? 纏わなかったんだよ。
あえて、そうしなかったんだ。
なぜか。
パティは豚を呼び出せることを、確信していたからなんだ。
いや、豚が重要なんじゃない。
ある種の契約で結ばれた相手を、呼び出すことが可能だと、確信していたんだ。
だから、探っていたのだ。
淫紋が繋がる、その先を。
その気配は絶望の代名詞だ。
どろりと朽ち堕ちる忿怒だ。
――我を呼び立てるか、花を鬻ぎ売らぬ女王――
私は淫紋が契約であると、13話で書いている!
そして邪龍に言葉に呼応するかの如く、淫紋が全身に広がった。
それは、門だ。
宵闇の王が這いずり堕ちる依り代だ。
『我が言祝いだ女王に仇なす奴儕か。』
多くが絶命した。
親衛隊の3番隊『王の鎧』が、壁となって王を護りきった。
殺したのは、絶望の瘴気。
「あははははは! ボクがか弱い幼気なロリだからって、能力も最弱だからって油断してるからこーなるんだよ! ばぁーかっ!! あれだけ威張っててこれ!? しょぼーいっ!」
それは、凄絶な哄笑だった。
そして。
パティちゃんは唐突に頭を叩かれた。
「こぉら。弱い者イジメ、しないの。」
突如として後ろに現れた、妙齢の魔女、シルフお姉さまだった。
~to be continued~
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