21. えーっ!? 1,500文字で壊滅するマフィアってマジ!? そんなによわよわで良いんだ♡ ねえねえ悔しくないの♡♡ 悔しくないのでちゅかー?? やばやばぁ↑↑ ……ぷぷぷ♡ あ、ごめーんっ><
秒速ピンチ! すごいぞパティちゃん!
5億回くらい「大丈夫?」と豚廃性トリオに思われて、この様さ。
怖-いオジサンだらけの事務所にお届けされちゃった、というワケ。
「じゃあ、私はこれで。」
戯けた影法師。詐欺師に身を窶した魔族の末裔、鏡の残響、焔の射手たる魔導師。パティちゃんの敵、ジェストとは、ここで一度、唐突にお別れだ!
「おお、兄ちゃん、ありがとよ。――でだ。お嬢ちゃん……知らないお兄さんについて行っちゃダメだって、学ばなかったのかい?」
正面には何人目だって感じのハゲ頭。
ここら辺の裏社会の頭目の一角。
やられ役確定の、性欲の獣。
脱法奴隷商人の関係者。
そのチビデブハゲが、舐め回すような視線をパティちゃんに向けるのだ!
当然。
キモがられると思ってる!
そしてパティちゃんのような強気な絶世の美少女が、その尊厳を蹂躙されながら泣き叫び、そして諦めてうわ言のような小さな呻き声を上げるところなんか、心の底から愉しみたい! 私もそんなお話が読みたい!
しかし。
諸君らもご存知のパティちゃんだ。
むしろ、そんな状況こそが望むべき未来!
処女の臆病を拗らせた、もう一匹の性欲の獣だ!
絶望的な状況に近づくからこそ昴ぶるのだ!
無理矢理押し倒されて、非力な脚をこじこじ開かされて体を押し挟まれて、抵抗虚しく最後の尊厳さえ繋ぎ留めることさえ叶わず蕾を手折られたいのだ!
花を散らされたいのだ!
その純粋かつ清楚なる、淫猥の心はパティの魔力を励起して、淫紋まで素早く届いて活性化させるのだ!
ドクン。
それは邪龍が二匹、向き合って羽を広げて聖杯に見える意匠。尾を絡め、男女の交わりと愛の果実の揺り篭たる子宮を摸した妖しい黒のシルエットが、ビビッドなヴァイオレットピンクに脈動するのだ!
(あはっ♡♡)
ゆえに。
パティちゃんは負の性欲たる、雄のセレクションの本能に従って、己が持つ最弱の権能を行使せざるを得ない。
つまり。
『気配操作』で淫紋から漏れ出る邪龍の威圧を身に纏うのだ!
「――っっ!!」
大気圧が歪んで軋んだ嬌声。
それは幻聴。
瞬間でも意識を保てた者だけが聞いた残響。
闇が、どろりと這いずり堕ちた音。
常人が耐えることなどできない狂気の圧力。
その、息苦しい気配で気絶させる。
「えー!? こんな幼気なロリ巨乳に負けちゃうの?? ザコっ! ざーこっ!! あははははは!」
パティが使った能力、最弱の奔流の権能『気配操作』とは、後ろ暗い者なら心得のある、真に最弱の術理である。初歩の初歩であった。
ゆえに。
その能力者など無能力者に等しい、と謗りを受けるだろう。
それが裏社会なら尚更だ。
なぜならば。
チビハゲデブの応接室には、一切の術理をある程度抑え、そして破れれば消魂しい声で知らせる結界が張られていた。当然だ。
ただの『気配操作』であったなら、行使できなかっただろう。
しかし。
それは最弱の奔流。
それは最弱の権能。
魔法でも、魔術でもなかった。
神話の領域。
それは、ただ、気配を操作するというだけの概念。
パティが、邪龍に淫紋を刻まれて、その気配を感じ取れなければ成し得なかった奇跡。
邪龍に遭った。
メスガキだった。
そして生き残った。
パティは、決して莫迦だけでも間抜けだけでもない。
純粋に、自らの上位者の抗えようのない力に屈して、逃げられない快楽の中で従属したいだけのド変態ちゃんだ。
チンピラの親玉が、圧倒的であれば良かった。
用心棒の誰かが、能ある鷹であれば良かった。
ただ、そうではなかった。
それだけの理由で、パティは哄笑の絶叫に身を任せて、暗殺者の役割を全うする。
マフィアは、気絶している間に壊滅するのだ。
花を鬻いで売らぬ女王たるパトリツィア。
今は、ただの、強盗だった。
「えーっ!? 急にどうしちゃったんですかぁ♡♡ やばぁ↑↑ 這いつくばってでも、ボクのパンツ見たいのー?? えろーいっ♡♡ 引くわあ♡ ドン引きなんですケドー♡♡」
~to be continued~





