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粉砂糖の城  作者: 有栖川
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捨て猫


ゆーきセンセの居場所が分かったらしい。

何処?何処にいるの?


持っていたBABYのショップバックを丁寧に床に置き、シールをゆっくり剥がして中からアタシの心臓を見事打ち抜いたワンピースを出す。


嗚呼、可愛い。


皴にならないように丁寧に、そりゃもうハムスター触るみたいにビニールから出したらピンク色のハンガーに掛けてクローゼットという名のジュエリーボックスに仕舞った。



「相変わらず元気やなァ。そないなフリフリのカッコ、あきちゃんにしか似合わへんわ」


「うげェ、せなくん」


「嫌そォな顔」



アタシの顔を見てケタケタ笑う此奴は、れいくんのバンド仲間。

あ、れいくんね、バンドマンなの。セッションもロクにして無いケドね。


せなくんは去年の冬頃に白いコートに赤い斑点模様を付けてドンドン家のドアを叩いて入ってきたのがはじめましてだった。

女の妊娠が判って逃げようとしたら刺されて、ついでに女のリスカの血が飛んだらしい。


血まみれのお腹をガムテープで止めて「俺。保険証ないんよ。税金払ってないから」と言ってアタシの家に1か月くらい居候してた。


なんともまァ、潔い屑。


こんな事も在り、アタシはコイツが嫌い。



「ウヘェ、せなくん何の用?」


「こら、あきちゃん、そんな露骨な嫌な顔したらせなだって嫌でしょ。思っても顔には出しちゃ駄目」


「なんつぅ叱り方やねん」


「で、なんのよォなの」


「あ、ゆうき先生見つけたんよ。探してたんやろ?」



前言撤回!せなくん大好き!

でも



「ところでさァ、其れ、何?」



せなくんの足元にはもう2本せなくんより細くて白くて今にも折れそうな白い足。



「さっきそこの路地裏で拾ってん。捨て猫とか見捨てれん性分なんよ」



白いベビードールから除く欲情するような細い肩と白い足。所々に痣と血痕。



「ふぅん」



右足でお腹の下あたりをギュゥって踏んだら「むぅ」って鳴いた。

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