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粉砂糖の城  作者: 有栖川
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Maggots


粉砂糖と砂糖は何が違うのだろう。


成分?味?見た目?


全てが違うのかもしれないし、もしかしたら実は砂糖じゃァないのかもしれない。


蟻と羽根蟻は違う生き物だし、ヤドカリだって実は蟹の仲間だし見た目だけで判断するのは間違っているんじゃァないのか。


其れなのに何故人間は見た目で判断されるンだろう。


フリフリのフリルが着いた、ピンク色の、薔薇の刺繍が入ったブラウスに3枚重ねのパニエの上は同じく薔薇の刺繍入りのふんわりスカート。勿論フリル多めに付け足しております。

同じくピンク色の、リボンが綺麗に縦に並んでついた靴下にヒールは絶対的15cm。

そうそう、ベッドドレスも忘れちゃいけない乙女の身だしなみなら絶対的必要。だって日差し暑いんだもん。


うん、完璧。完璧パーフェクトめちゃくちゃ可愛い、アタシ。


所謂ロリィタ服が大好きでアタシの大好きな、大尊敬の、アタシの心臓の、BABY,THE STARS SHINE BRIGHT。


このお洋服の為に死ねるならなんだって構わない、かもしれない。お葬式はこのお洋服にして。



「あきちゃん、またトんでンの?」



細い、ドン・キホーテで980円で買った姿見でファッションショーをしてたら奥から間延びした声が聞こえる。



「あきちゃん、トんでもいいけどゲロ吐くならトイレね。あとリスカは掃除が大変だからやめてね」



ぶっ飛んでるかどうとかの前に、掃除の心配かコノヤロウ。


部屋の10cm開いた扉から顔を出したれいくん。

ブリーチしっぱなしのプリン頭で長い前髪から覗く細い目が凄くビー玉みたいで綺麗だっていつも見惚れる。


れいくんはアタシのカワイイお洋服に釣り合わない、これまたドン・キホーテで上下セット780円だったグレーのスウェットを腰まで下げて着ていた。



「キメてたんじゃないの」


「失礼な。お洋服決めてたの。どう?」



その場でふわっと回ってみせる。

回転と共にふわりと覗くパステルパープルのパニエちらりと目に入った。



「フツー」


「そういう時は嘘でも可愛いって言うもんじゃん。乙女心わかってないなァ」


「カワイイヨー」


「嘘つかないでよ!」


「どっちだよ」



れいくんは呆れ顔でキッチンへ向かい朝ごはんだよってパンの耳を持ってきた。



「今日で残金36円かァ。キツイ。あきちゃんバイトしてよ」


「やだァ。」


「じゃ、お洋服買うの辞めるか売ってきて」


「絶対やァだ!」


「お先真っ暗だねェ」


「いいじゃん、生きてる価値ないンだし」



そ、生きてる価値ない。

多分その辺飛んでる蚊の方が生産性あると思う。アタシらよりよっぽど人の為にたってるヨ。嗚呼なんて健気な蚊だろうか。


それに比べてアタシ達は残金36円で何をしよう?


考えたけど糖分と要領の足りない頭は3秒でショートして考えるのをやめた。


とりあえず、って笑っていつもみたいにれいくんにピンク色とオレンジ色のカラフルなのをシートから10粒くらいパキって出してあげたら喜んでたから今日は良しとしよう。

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