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剣ノ杜学園戦記  作者: 新居浜一辛
第九章:祭りの、シマイ
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ここまでの剣ノ杜学園戦記

 剣ノ杜(つるぎのもり)学園。

 ごくふつうの私立校に過ぎなかったこの学園は、ある夜祭りのl 最中に巨大な突き立ったことで一変した。


 中庭の一帯は異界化し、その余波を浴びた人々は理性なき怪物『レギオン』と化した。

 その事故に居合わせた若き天才科学者、維ノ里(いのさと)士羽(しう)(陰キャ・頑固・社会性ゼロ)はその魔剣『上帝剣』の因子を結晶体『ユニット・キー』として体外へと排出、エネルギーへと転用する『ストロングホールダー』システムの開発に成功。

 また、征地(まさち)絵草(えくさ)(ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ)とともに学生を主体とした自治組織【対策委員会』を発足し、事態の沈静化に成功する。


 だが程なくして技術流出と、それに伴う外部組織の介入めぐって士羽と絵草は対立。その摩擦を厭う士羽は『委員会』に見切りをつけて脱退する。

 そして勢力は五つに大別されることとなった。


 生徒会長となった絵草が圧倒的な暴威で中枢を支配。

 異界化して氷雪の大地に閉じ込められた、白景(しらかげ)(りょう)(クール・に見せかけた・ぽんこつ)がリーダーを務める『旧北棟』の生存者たち。

 流出した技術とストロングホールダーの量産を資本に、学内外に商売の手を広げていく多治比(たじひ)兄妹(腹黒・ミステリアス・不器用・銭ゲバ)率いる『西棟』。

 我関せずと中立を貫く将来を約束されたエリート集団『東棟』。

 学外にありながらその力の恩恵に食い込もうと目論み、海洋都市と化した巌ノ王京(いわのおうきょう)(たける)(傲慢・悪魔を超えた悪魔・弱き者)が校長を務める南洋分校。


 それぞれの思惑の下、互いへの牽制や暗躍が続き、そして二年後。一人の少女が入学してきてきた。


 彼女の名は、足利(あしかが)歩夢(あゆむ)(無愛想・無礼・無乳)。

 ごく普通の一般生徒だった彼女は、何かに誘われるように『上帝剣』突き立つ旧校舎『黒き園』へと迷い込んだところを、新人狩りの桂騎(かつらき)習玄(しゅうげん)(コソ泥・自由・エンジョイ勢)に襲撃される。

 それを救ったのは、奇妙なカラス型のレギオン、レンリ(デリカシーゼロ・無能・おっぱい星人)だった。

 彼にストロングホールダーを与えられた彼女は、桂騎との小競り合いの後、幼馴染であった士羽、そしてその協力者である的場(まとば)(めい)(ぶっきらぼう・毒舌家・ママ)と合流してその保護下に入ることになる。


 そしてレンリから伝えられたのは、『上帝剣』の真の役割。

 それは、接触した世界の、一個の知性体を高次的存在『征服者(コンキスタドール)』に引き上げること。

 その自我を奪い、世界を喰らう怪物へと変貌させることだった。

 それを止める方法はただ一つ。ホールダーをもって対象から『上帝剣』の因子を抽出することだった。


 その情報をもたらしたレンリの存在は当初こそ伏せられていたものの、ある人間がその存在を嗅ぎつけた。

 生徒会副会長、賀来(かく)久詠(ひさえ)(小物・オブ・小物)。学園の支配権が未だ征地にあることを内心快くは思っていなかった彼女ならびにその背後の組織は、その強奪を持って主導権を奪おうと画策。

 『旧北棟』ならびに南洋分校をけしかけようと試みるもことごとく失敗。

 だが、その影で異変の兆候が波立っていた。


 進退極まった久詠に協力をもちかけたのは、多治比家の長子であり養子である和矢だった。

 彼の協力者たち、ライカ・ステイレット(ちっこいの、かわいいの、美少年)と見晴(みはる)嶺児(れいじ)(でっかいの、なんか硬いの、サイコ)に歩夢たちを襲撃させるも、思わぬ乱戦に発展してしまう。


 そして収拾がつかなくなった現場に、征地絵草が姿を見せる。


 敵味方の分別なく、自身の物差しのままに断じ、一方的に蹂躙していく絵草の前に、抗する術はなく、歩夢もまたその剣にかかろうとした、その矢先……レンリはその真の姿を見せたのだった。

 それは、歩夢が幾度となく見た悪夢の中に立つ、鳥の怪物だった。


 レンリの超然たる力さえもなお打ち破る絵草からかろうじて逃れた一同に、彼は『真実』を語る。

 彼こそが、自身の世界を滅ぼした『征服者』であること。人間性を取り戻した時には、世界の崩壊は留められなかったということ。

 一度選定された人間は、たとえその因子を抽出したとしても再度選定される可能性が高いこと。

 そして、その世界とは……維ノ里士羽が全ての責任を放棄してしまったがゆえに破滅した絶望の並行世界、剣ノ杜のもう一つの未来だということ。


 全てを語り終えたレンリは、みずから裁かれるべく、絵草の下へ出頭する。

 本来ならば、救うべき理由など何もない。世の流れを受け入れてきたのが自分の生き方だったはずだ。

 そう考え、そして思い悩む歩夢だったが、南洋にて親友となった深潼(しんどう)(なぎさ)(違う・こいつ・サイコ野郎)のアドバイスを得て、世界の命運など関係なく、ただ自分が今その時に望んだ道を進むことを選び取り、仲間たちと再度絵草と対決する。


 全てを使い切る激戦を制したのは、歩夢だった。


 何かを悩み、そしてある決意を新たにしたレンリを伴い、少女たちは日常へと戻っていく。


 だがその裏で、敗走の最中にあった絵草は謎の怪人に襲撃され、その身を貫かれた彼女は海中に沈む。

 東棟でもまた、生徒会メンバーに運び屋の(たかどの)灯一(とういち)(失礼・オタク・センスゼロ)が襲撃されて消息を絶つ。

 多治比和矢の暗躍も続く。


 ――そして、あの災害からちょうど二年。

 それぞれの打算と思惑が蠢動する、学園祭が始まろうとしていた。

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