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ゾンビ待ち  作者: 伊藤両断
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再会

「押収された大破したバイク…ですか?」


事故の日にち、型式やナンバーも伝えたが…窓口の警官は首をかしげてため息をついた。


「本当にウチで押収したと?普通、人身事故とかじゃなければ押収しないよ」


「病院で、そのように…」


待てよ…思い返せば、看護婦さん「警察にあるんじゃないかしら?」って言ってたような…断言してはいなかったかも。


「…バイクは行方不明か」


再度、病院に確認するか?どうしたものかと悩んでいると、茶色のスーツを着た中年男性が声を掛けてきた。


「君、もしかしたら…原さんのぼっちゃん?」


聞き覚えのある声だった。あれ?もしかして…


「あ、あの時のおまわりさん!?」


男性はニッコリ笑って嬉しそうに頷いた。


「いやー、覚えててくれたんだ?嬉しいなぁ」


「覚えてますよ。迷子になったこと、助けてくれたこと…忘れられない思い出です」


僕と弟を助けてくれたおまわりさんと、こんな時に再会できるとは…夢にも思わなかった。


「今は、刑事やってるんだよ。弟さんも元気?」


「えぇ、元気ですよ。弟…タダシは警察官目指してるんですよ。今度、試験受けるんです」


おまわりさん…今は、刑事さんか。


刑事さんは驚きながらも嬉しそうに声をあげる。


「本当に!?それってもしかして、僕に憧れて…的な?」


「は、はい」


うわ~凄い喜んでるよ。こういう人だったんだな…とにかくエネルギッシュ。


「こんな嬉しいこと、なかなか無いよ!あ、そういえば自己紹介まだだったね?僕は塩引(しおひき) (つとむ)あらためて、宜しく」


「原 渉です…珍しい苗字ですね」


「塩ってつく苗字が、そもそも珍しいからね。ところで、ワタル君はなぜ警察署に?」


「…事故を起こしてしまい、こちらにバイクが押収されたと病院で聞いたのですが、どうやら届いていないらしく…困っています」


「人身事故?」


「いいえ、電柱にぶつかったらしいのですが記憶が無くて…」


一通り現状を説明した。勿論、ゾンビの話はしていない。


「もしかしたら、盗難かも知れないね。いや、たまにあるんだよ。火事場泥棒みたいなヤツで、バイクを押収する手伝いしてますとか言ったり、家族のフリして持ってっちゃうとか」


世の中、そんな輩もいるのか…初耳だったが言われてみるとありそうな話だ。


「被害届だしておこう、もし何かの勘違いで見つかったら僕に連絡して」


シオヒキさんから名刺を貰い、結局何の手がかりも無いまま警察署を後にした。


「クソ、何がどうなってる?もしかしたら、政府が隠ぺいしようと動いてるのか?」


独り言を言いながら宛も無く歩く…今、他にできそうな事は?


とりあえず、ゾンビに関して調べてみるか。


父さんと見た映画のゾンビは唸り声をあげながら両手を突き出しゆっくり歩いていたが…僕が遭遇したゾンビは走って向かってきたし噛みつきだけじゃなく、殴りかかってきた。


ゾンビにも様々なパターンがあるということだろうか?


自宅に戻り、ネットを活用して色々調べてみよう。


対策や撃退方法、逃げる場合の注意点…ゾンビが存在する証拠を探り続けるよりも、いざという時の為に準備をする方が得策かも知れない。


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