第1話 振り返ったアイツは。
昔の俺は15歳の時にアイツと出会った。今回はどんなアイツになってるかな。
昨日、3月3日に15歳の誕生日を迎えた俺は、気持ちを弾ませながら新宿の街を歩いていた。そろそろアイツを迎えに行かなくちゃならない。
前々回はストレートのロングヘアーで黒い髪を三つ編みにしてた。前回もストレートの黒い髪でロングヘアー。確か高い位置でポニーテールにしてた。
今回も黒い髪でロングヘアーかな〜なんて目星をつける。まぁそれもあまり意味は無いんだけど。
雰囲気で分かっちゃう。まぁ?前世からの付き合いなら当たり前だよなぁ?
なんて事を考えながら交差点を渡る。
その時、さらっとした黒いショートヘアーを靡かせて歩いていく同い年くらいの人とすれ違った。
匂い、歩き方、髪の毛、身長、年齢。アイツだ。
なんだぁ〜今回はショートかよぉ〜はずれはずれ〜!それに男となんて歩いちゃってさぁ?俺のことはどうしたんだよ〜!
でも、アイツと会える。何年ぶり?そんなことは全然わかんないけど。
嬉しくて大きい声で名前を呼んだ。
「未来!」
「……はい?」
あれっ声低くね?えっ?胸どこやった?
振り返ったアイツは確かに未来だった。
「未来は俺ですけど…」
背筋が固まった。
匂い、歩き方、髪の毛、身長、年齢。全部未来。なのに…
「知り合い?」
「ううん。知らない人」
俺のことを忘れてる上に男になってた。