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愛妻の日

作者: 宮居 萊梛

「今日、愛妻の日らしいですよ」

同僚が言っていた。

「だから弁当作ってもらったのか?」

「妻がそう言って、だから弁当作ったのって、渡してきて。嬉しいんですけど、ちょっと違うと思いません?」

「いいじゃねぇか愛されてて…今日の帰りになにか買って帰ってやればいいだろ。いつものお礼って」

「妻が喜びそうなものって何ですかね?」

「そんなん自分で考えろ」

「そんなこと言わないでくださいよ〜」

「お疲れ様です」

「おー、お疲れ様」

「お疲れ様っした〜」

2人の話を聞いていたら定時を過ぎていたので、挨拶して立ち上がる。




……愛妻の日、か。




帰路を歩きながらちょっと思う。

今日くらい、便乗してみてもいいかな。


帰り道、花屋さんがあったのを思いだし、妻が花が好きなのも思いだし、そちらに向かうことにした。


「いらっしゃいませ〜」

あまり大きくない花屋だ。

「何をお探しですか?」

「あぁ…妻に送る花を……」

「記念日ですか?」

「えぇ、まぁ…そういったものです…」

「でしたら、今日は愛妻の日らしくて、それに因んだイベントもやってますので、どうです?」

「あぁ、えっとじゃあ…それ、お願いします」

「ではどうぞー」

これ幸い。何を選んでいいのかわからないし、花言葉とかいうのもあるし、用意してくれているならそのほうが良い。

ピンクのチューリップに、メッセージカードを付けて、ラッピングの紙の色、リボンの色を選ぶ。妻の好きな色。

「はい、では少々お待ちくださいね」

「はい…お願いします」

メッセージカードと選んだものを持って店員さんが奥に引っ込む。

店内をぶらぶらすることにした。

ふっと目に付いたのは、小さなくまのぬいぐるみ。

「お待たせしました〜。あぁ、それ、可愛いですよね。人気ですよ」

綺麗に包まれた1輪のチューリップを持って店員さんが出てきた。

「……すみません、これもください」

「かしこまりました。どちらのお色にしますか?」

「えっとじゃあ……白で」

「はい。少々お待ちください」

チューリップを持ったまま、また店員さんは奥へと引っ込む。

展示してあったのと同じ白色のくまのぬいぐるみを持って出てきた。

「お待たせ致しました。こちらでございます」

チューリップとくまのぬいぐるみを渡してくれる。料金を払って、家へ向かう。



「ただいま」

「おかえりなさい。あら……それどうしたの?」

妻が迎えてくれる。かばんを持とうとしたので今日はそれを断り、かばんを床に置いて

「今日は……愛妻の日、らしいから…」

1輪のピンク色のチューリップと、白色のくまのぬいぐるみを渡す。

「いつも……ありがとう。愛してる」

顔が赤くなるのがわかる。

「……ありがとう。そうか…貴方も、今日が何の日か知っていたのね」

「え?」

「私も、花屋さんに行ったのよ」

そう言ってリビングへ向かう妻。

食卓の上には、白いバラが花瓶に入って飾ってあった。傍には俺が買ってきたチューリップと同じ色のくまのぬいぐるみ。


「んふふ。なんか嬉しいわ。貴方はこういうこと、いつもしない人だから」

「たまには、と思ってな…同僚が話しているのを聞いたから…」

「そうなのね。感謝しなくっちゃ」

妻が抱きついてくる。そのまま唇を重ねる。


「愛しているわ」


食卓には1輪の白いバラとピンク色のチューリップ。同色のくまのぬいぐるみ。





「私はあなたに相応しい」




「誠実な愛」

久々にキャラクターに名前がついていない作品です。

昨日、水族館に行った時に1月31日は愛妻の日ということでイベントをやっていたので、なんとなく書きたくなったもの。




たまにはこういうのも、良いですよね

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