4、 HAPPY・BIRTHDAY
ロマンティックな気分に浸りオーチャードロードを眺めていたらいつの間にか真っ暗になってしまったので、時計を見ると午後7時半頃だった。
シンガポールは通年、日の出や日没の時間がほとんど変化しないというから現地の人たちは毎日仕事が終わってからでもプライベートな時間がたっぷりとあり、ゆっくりと過ごすのだろう。なんとも羨ましい限りだ。 シャングリ・ラホテルの【なだ万】をちらっと覗いた時夕方の回店が6時30と表示してあったのだが、日本のホテルのレストランだと大抵のお店の開店時間は5時30分ぐらいだから日本より1時間ばかり遅い。不思議に思ったが、それは日没時間に関係があるのかもしれない。
3人ともかなりおなかが空いてきたのでそろそろ食事にしようと言うことになった。
初めてのシンガポールの夜と、昨夜成田で誕生日を迎えたゆりの誕生日祝いを兼ねてどこかホテルで食事を、とピックアップアップしておいたヒルトンホテルのメインダイニングを見に向かった。
お店の前でメニューを見ているとお店の方が出て来たのでバッフェをやっているか訪ねると、
「夜はやっていません」との返事だった。
海外、特に東南アジアだと変わった味の食べ物などもありバッフェが一番無難だし、一流ホテルのだと結構ハイレベルで失敗が少ないから良いと思ったのだ。
「今度はどこに行ってみる?マリオットホテルはどうかな、変わった中国風の屋根がついているホテルだけど」と私。
「ここから近いの?」
「DFSの近くだよ、あと近くにはグランド・ハイアットもあるよ」
「じゃぁ、その辺にいってみよう」と歩き始めた。 オーチャードロードの反対側に渡り少し歩いて行くと、スコッツロードと交わる所に来た。この角にはオープンカフェがありその建物がマリオットホテルだった。
このホテルに入ってみたくなり、ロビーに足を踏み入れるとパームツリーが飾られていて素敵だった。
レストランを覗くとバッフェ形式で料金がそんなには高くなかった。先程のカフェと繋がっているらしく雰囲気も良さそうで気に入ってしまった。
「ここで食べようよ」と私。みんなすぐに賛成してくれたので入店した。 席に案内されて辺りを見回すと中国人らしき人たちが多かった。そして早速料理を取りにブースの方に向かった。
料理の種類はコンチネンタル、タイ、インド、中国と様々揃っていたが日本食はなかった。他にローストビーフやボイルしたエビや貝、サーモンの刺身のようなものも結構あり、日本の感覚に近かったので食べる物には困らず、3人ともかなり食い意地を発揮して食べ物を取って来た。
自分たちの席に戻り、
「ゆりの誕生日にシンガポールに来れて本当に良かったね。お誕生日おめでとう。今日は沢山食べてね」
「ありがとう、美味しそう、それにシンガポールはいいとこだね」と3人で乾杯して食べ始めた。
持って来た食べ物は大抵美味しかったが、時に変わった味の香辛野菜があり、それはちょっとご遠慮申し上げた。
デザートも種類が豊富で、手作りケーキもあり美味しかったし、コーヒー、紅茶も付いていたのでかなりの満足度だった。
ゆりの誕生日ディナーを満喫した後はタクシーでシャングリ・ラホテルまで戻った。
順番に疲れた体を豪華なバスルームで癒やした3人は、再度誕生日の夜を買っておいた飲み物で乾杯し、シンガポール一日目の夜は更けて行った。
「もう、疲れたから寝るよ」とキングサイズのベッドに飛び込んだゆりが、
「このベッド、超気持ちいいよ、天国に行きそう」
「えーっ、ほんと」と私もベッドに横たわってみると、ほんとだ。今まで味わった事のないふんわり感。
「すごい、本当に気持ちいいね、さすがシャングリ・ラね」とただただ感動してしまった。
その夜、じゃらねっと一家はベッドに吸い込まれるように眠りについたのだった。
つづく
シンガポールは初日から楽しく、好印象のスタートでした。
次回は市内観光です。