5、 憧れのシンガポール航空
シンガポール航空の機内に入るとキャビンアテンダントの素敵なロングの制服が目を惹いた。バティックというロウケツ染めの生地で作らていて、シンガポールやマレーシアのお土産としても有名な生地らしい。
サービスや食事が他と比べワンランク上だと聞いていた事もあるが、この衣装に憧れシンガポール航空を利用してみたいという気持ちもあったので、実際に間近で見られ感激ひとしおだった。
自分たちの席に着き、辺りを見渡すとガラガラで随分空いていた。
「やけに空いているね、私達早く搭乗しちゃったのかな?」とぱんに聞くと、
「昨日ぐらいまでに殆どの海外旅行客は出国しちゃったんだよ」
「そうかー?!でもこんなに空いてたらきっと機内では楽なんじゃない?どこにでも移動出来そうだし」
離陸間際になってもその状況は変わらず、殆どの席は空席だった。
「いっぱい席が空いてていいね」とゆりは喜んだ。結局この飛行機は【がらんどう】のまま離陸した。燃油の無駄使いかも?知れないが私達は喜んだ。
この飛行機は各席に液晶モニターが付いていて、ゲームをやったりビデオを見る事が出来るという事をパンフレットを見て知っていたのでゆりはとても楽しみにしていた。
定番のドリンクサービスが終わったら早速、ゆりがゲームのモニターを触り始めた。
「なんかこの席ゲームが出来ないみたいなんだけど」とゆりが言うので試してみると、本当にゲームの画面が出て来ない。
この日は日本人の乗務員が乗っていないようだったので、怪しい英語で中国系らしいキャビンアテンダントの女性に尋ねると、やはり私達の席はゲームの出来ない席だったようで、別の席に移動させてくれた。それからは、ゲームをやり続け少し疲れて来たところでランチサービスが始まった。
メニューは写真のような表紙の綺麗な小冊子になっていて、まずそれに感激した。そして
このニューを開くと、かの有名な<シンガポールスリング>が載っていたので、私はそれを注文した。これは飲んでみると、色々なフルーツの味にお酒が入っているような感じで、口当たりは悪くなかったが、想像していたほどではなかった気がする。
料理の方は、魚のソテーと和食のきじ焼き丼からのチョイスで、きじ焼き丼の方は京都『菊乃井』というレストランの有名シェフの特別料理と書いてあったので、主人と私は迷わずそちらに決め、ゆりはお魚のほうを注文した。
「ゆり美味しい?」と聞くと「美味しいよ」という返事が帰って来た。
「こっちも美味しいわよ」とお互いにお裾分けしてシンガポール航空?を味わった。
この飛行機には男性のマネージャーの様な人が数人乗務していたが、その人たちは機内サービス等自分ではせず、女性のキャビンアテンダントに偉そうに指示を出していたのが印象的だった。今まで乗った事がある飛行機では見た事のないスタイルだったので一寸驚いた。満腹の後は、寝ることもせずまたゲームに夢中になり着陸寸前までゲームをやったので、疎の頃には、機内の乾燥と疲れで3人共目が血走っていた。便利なのは恐ろしや〜。
と言ってもサービスや食事はとても満足で、憧れていた飛行機に乗った甲斐は十分にあった。
そして次回もシンガポールに行く時は絶対にシンガポール航空を利用するぞ!と秘かに心に決めていたのだった。
※シンガポール・スリング
1915年にシンガポールのラッフルズホテルのロングバーで誕生したクラシックドリン
で、今では世界的に有名なカクテル。ドライジン、ベネディクティンDOM、コアントロ
−、チェリーブランデーに、ライムジュース、パイナップルジュース、少量のアンゴスチ
ュラビターズ、グレナデンを加えてシェイクした飲み物。
第2章へつづく
快適な空の旅でシンガポール旅行ははじまりました。
次回からはシンガポールです。