4、 ナイト・サファリ
ナイトサファリには午後6時過ぎに到着した。
サファリの入園口の外には、良くツアーなどで利用されるバッフェ形式のレストランがあ ったので、まだ入園するには早いし、中に入ってしまうと食事をする所が無いかも知れないと思ったので、先にそのレストランで食事を取る事にした。
中に入るとやけに日本人が多く、幾つかの日本の旅行代理店のツアー客が殆どで、日本人で固まって食事をしていた。
その代理店の中には今回私達の利用したツアーの親会社もあり、アニマルナ〇トなるツアーを行っていて、市内観光同様、オプショナルツアーも共通なので、昨日の市内観光の時にガイドさんに「うちのツアーだと特別に夜行性動物が近くで見られるし、ショーは特別な指定席で見物出来るよ。とっても楽しいからお薦めよ。是非あなた達も参加してみて下さい」と熱心に薦めてくれたのだが結局、参加はしなかった。
ツアーの内容にも良かったし、移動も楽で安全なので、ちょっぴり惹かれたのだけれど、何しろツアー代が日本円で一人一万円、ガイドさんは「内のツアーは安いよ」、と言っていたが、三人となると三倍の三万円にもなるので、家族連れにはちょっと痛い金額だった。
結局、私達はツアーを利用しないで半分以下の料金でナイトサファリへ来られたのだから結果的にはかなりお得だったようだ。
このレストランはガイドブック等によると、あまり美味しくないように書いてあったので少々不安もあったのだが、食事はバッフェ形式で、サラダ、メイン、デザート、ソフトドリンクとまあまあ種類が揃っていて、料金が安いので結構満足した。
取り立てて美味しいとは言えないかもしれないが、まあ合格点かなと私達は思った。
オープンエアですぐ近くにサファリの動物が見えていて、サファリの気分に浸りながら食事をするのもまた格別だった。
午後7時一寸前ぐらいから、入園口に欧米人が沢山並び初めた。まだ、暗くならないのに変だな、やけに気が早いなあ?と不思議に思っていて、少ししたらどんどん入園し始めたので、園内トラムが動き始めたのかな、と思っていた。
でも私達は、ナイトサファリだから、かなり暗くなってからでないと夜行性動物を見られないと思って、レストランでひたすら食べて待っていて、やっと真っ暗になりかけた午後7時30分頃遅ればせながら入園した。
いざ入園して、トラムチケットを購入しようと売り場に行くと、既に、すぐに乗れる日本語トラムは既に満席で、英語トラムならすぐに乗車出来るとの事だった。
せっかく乗っても動物の説明があまり解からないとつまらないので、空席のある日本語トラムまで15分ぐらい待つ事にした。
元々、日本語トラム英語トラムに比べて本数が少ないようだった。
トラムは屋根がない4人掛け位の座席が、10列ぐらい連なっている乗り物だった。
最近は個室みたいになっていてコース料理の食べられるトラムも登場しているみたいなので、カップルでの利用に良さそうだなあ。
私達の乗ったトラムは全員が乗ったらすぐに発車した。
シンガポールは夜になると、意外と気温が下がり、風も出て比較的涼しくなるのだけれど、トラムが動き出したら周りのジャングルから心地よい風がそよそよと吹いて来て、それがとて涼しく心地良くて、サファリの気分を盛り上げるのに充分だった。
シンガポールは湿度が高くて暑い国といわれているけれど、日本なんかより全然涼しくてな快適な国だな、と実感した。
後になってナイトサファリで良く思い出すのは、心地良かったジャングルの風の事だ。
サファリの中は幾つかのゾーンに分かれていて沢山の夜行性動物を見た訳なのだが、動物のいる場所が暗いので実際にはどんな動物がいるのか良く解らなかったし、あまり記憶にもないというのが本当のところだ。
唯一覚えているのはゾーンが幾つかに分かれていたことや、トラムカーの日本語案内で『ジャコウネコ』という動物がいると聞いた事だったかな。まあ、そんなものでしょう。
後になってガイドブックを読んだら、ゾーンが八つあり、マーコール、インドサイ、ジャッカル、サーバルキャット、シマハイエナ、バビルサなんて珍しそうな動物もいれば、フラミンゴ、キリン、カバのような見慣れた動物もいたらしい。
一周する間の約40分間、ずっと動物を見るより心地良い風の事で一杯だった。
トラムが終点に着いた後は歩いて、屋外にあるアニマルショーの会場へ向かった。
結構広い会場で、座席は階段状なのでどの位置からでも大体、ステージを見渡す事は出来る様にセッティングされていたが、トラムに乗車した時間が遅かったので、会場へ入りも後のほうになってしまい、座席は一番後ろに近かった。
ショーは結構色々な動物が出て来たので、言葉があまり解からなくてもたのしめた。
きちんとゴミを分別して捨てるカワウソが可愛かったし、ピューマが大きな木をよじ登り、太い枝からジャンプする様はかっこ良かった。
また、美しい模様の毛皮に包まれたサーバルキャットの姿は野生味満点で、高く吊り下げられた餌に飛びつくその飛躍力としなやかさには感心したし、客席から歓声もあがっていた。
そして、一番の見物だったのは、観客に扮したスタッフが客席から巨大なニシキヘビを連れて登場し、一般のお客さんの首に巻きつけるパフォーマンスには、私達だけでなく観客の人々もハラハラ、ドキドキしていたようだった。
どうして噛みつかないのか、どうやって仕込んでいるのかな?と ただ、ただ感心してしまった。
こういうアニマルショーは日本では殆どお目にかかる事がないので、とても貴重な体験だったなぁ。
たっぷりショーで楽しんだ後は出口の方へ向かい、出口のすぐそばにある売店に入った。
沢山の動物達のぬいぐるみやペンなどの可愛いグッズが並んでいたので、ゆりも私もゆっくりと時間をかけてお土産を選びたいところだったのだが、私達はツアーで来ていないので急いでタクシー乗り場に並ばなければタクシー乗り場が行列になってしまうと思って、急いでお土産を買うはめに陥ってしまった。
可哀想だけれど「早く、早く!」とゆりを急かしていたら、短時間でお気に入りを見つけてくれたので助かった。
ゆりが選んだのは南国のカラフルなオウムと、夜光塗料で暗いところで光る動物のマグネットを2つだった。ちゃんとお土産下も買えて良かったなぁ。
その後は急いでタクシー乗り場へ直行したのだが、拍子抜けするほどガラガラだった。
ゆりを急がせて可哀想だったかな?
タクシーでサファリからシャングリ・ラホテルまでは約S$15弱で到着した。道路が渋滞していなかったので、安かったようだ。タクシー乗り場に書いてあった相場と同じぐらいの料金で良かった。
ホテルには比較的早く午後十時ぐらいに到着したので、ゆりの希望もあり、お茶でも飲もうかとラウンジのロビーコートに入った。