第4章 1、 セントーサ島へ
あっという間に旅行も三日目の朝を迎えた。
昨日より少し遅くまで寝てしまい、午前8時頃起床してベランダに出てみると、朝の天気はうす曇り。
昨日もそうだったが、朝からあまりカラッと晴天という事はないのかもしれない。
赤道直下とは言いながら、雲で常に覆われているらしくハワイやグアムに比べたら案外
日中の日差しも強くないのかも知れない。
一旦は起き上がったものの、何だか頭が重くて軽い吐き気がする。どうしたのだろう?
昨日はビールをコップ一杯飲んだだけだから、まさか二日酔いでもないだろう、と思いながら起き上がろうとしてみるのだが、頭が重くて気分が悪かった。
やはり真冬の日本から真夏の気い候に変わり、その上湿度も結構高いので軽い熱中症に掛かってしまったのかも知れない。
再度寝てしまい、起き上がった時は午前9時半近かった。でもその頃には、はかなり気分が良くなっていたので助かった。
昨日の『コーヒー・ガーデン』は幸いAM11時30分まで開いているというので、10時過ぎ頃朝食を取りにレストランへ向かった。
この時間になると、ゆっくりと朝食を楽しむ欧米、特にオーストラリアからの年配の旅行者が殆どで、もともと少ない日本人の姿は私達以外一組ぐらいしか見かけなかった。
昨日は時間が無く室内の席だったので、爽やかな南国の風に吹かれようと、熱帯植物園さながらのガーデンサイドの席に案内して貰った。
着席すると、不思議な事にこのレストランの周りだけそよそよと、気持ちの良い風が吹き抜けて行くではないか。
その時は特に気にも留めず今日は風が吹いているのか、と思っただけだったが、後になって考えてみると、このホテルのレストランの周りだけいつも風が吹き抜けていたような気がした。
このホテルは少し高台に建っているのだが、その立地を上手く利用して、風が流れるように工夫して、設計されているのかも知れないと思った。
この日の朝食は、和食を少しと前日にとても気に入った粉砂糖の掛かったクロワッサンと体調の回復にフルーツをたっぷり、それとシリアルで割とあっさりした食事を取った。
のんびりと、気持ちの良いガーデンを眺めながらの朝食は格別に贅沢な気分に浸れ、それだけでもご馳走だった。最高の贅沢だ。
朝食の後は、セントーサ島へ出かける予定だったので、通常なら、電車やケーブルカーを利用してそこまでいくのだが、幸いこのホテルには、セントーサ島に同じシャングリ・ラ・チェーンのホテル、シャングリ・ラ・ラサ・セントーサがあり、そこまでシャトルバスを運行しているので、それを利用する事にした。
タイムテーブルを見ると、バスの運行は1時間に1本ぐらいで、お昼過ぎのバスを逃すと、また1時間ぐらい待たなければならない。
時計を見たらもう11時半。ゆっくり食事をしすぎたかな。
これは急がないと間に合わない、と部屋に戻り慌てて支度をして、玄関前からバスに飛び乗った。
周りを見渡すと、昨日のシャトルバスと同じで私達以外は全員が欧米人らしき人々。ちょっと場違いな感じではあったが…
シンガポールって本当に欧米やオーストラリアからの旅行者が多いのだなと、改めてびっくりした。
10分も乗っていたらすぐ郊外へ出たが、相変わらず、綺麗で衛生的な国、というイメージに変わりは無かった。
ただ、一層自然が多くなり、緑も濃くなってローカル感が増したようだった。
ローカル感は増してくるものの、何処まて行っても衛生的で綺麗な感じは変わらなかった。 セントーサへの入島ステーションまで来たとこるで、バスの運転手さんが何やら乗客に確認し始めた。
皆、チケットのような物を見せていたが、私達は持っていなかった。
恐らく入島する時には、入島料を徴収されるのだが、その代わりのチケットだ。
ホテルで入島料を負担して乗客に前もって渡していたのだろうか、或いは、事前にホテルでシャトルバスを予約する時に、入島料を支払っていたのかもしれない。
とにかく、シャングリ・ラの宿泊客である事だけははっきりさせた方が良いと思って、客室のカードキーを運転手さんに提示したら、頷いてくれて、それでパスした。一安心だ。
私達はバスに乗る時に何も聞かれなかったし、慌てて乗り込んでしまったが、やはり事前に確認するべきだったと反省した。
『ラサ・セントーサ』で下車した後、折角来たのだから、とホテルのロビーに入ってみると、オープンエアーの心地良いスペースが現れ、まさにリゾートホテルの感じだ。ホテルマンの制服も南国風。こんな感じのホテルに宿泊するのも悪くないなと思ったりした。
ロビーの直ぐ下はヤシの木に囲まれた南国調のプールが見え、更にその先には白砂のビーチと遠くを行き交う船やタンカーの姿が見えた。
なんとも異国情緒溢れる光景だった。
ハワイに旅行した時より海外に来た感じがしたから不思議だ。
初めに見物予定のアンダーウォーターワールドまでは、ホテルからそう遠くないので歩いて
向かった。