5、 日本人買ってます
やっと「宝石城」から解放されたツアー客御一行様はバスの中でやっと一息。
お昼が近いので、ゆりも「お腹がすいたよ」とそろそろうるさくなってきた。次はやっとお待ちかねのランチかと思っていたら「皆さん、もうお腹がすいているかもしれませんが、あと一軒だけお土産店よります。健康食品のお店よ。皆さん、あまり興味ない方もいるかもしれないけど、もし気に入ったものあれば、買ってみて下さい。無理に買わなくていいよ。そのあとはお昼だから、もう一軒だけ付き合って下さい」
(あーぁ、また寄るの!?やっぱりツアーだと、興味の無いお店にも寄らなければならないから嫌だな)でも、行程に含まれているのだから仕方がない。
名前は忘れてしまったのだがが、15分ぐらいでその健康食品のお店に到着した、じゃらねっと達。
ぞろぞろと中に入ると全員、椅子に腰掛けさせられ、なにが始まるのかなと思っていたら、これまた中国人らしき人が現れ、日本でも一時期ブームになった「プロポリス」や何種類かのサプリメントらしき物をテーブルの上に出して、その説明を始めたのだった。
私たち家族は全く興味を示さなかったが、他のツアー客は対照的で興味津々といった感じで説明に聞き入っていた。
全ての商品の説明が終わると、お買い上げタイム。店員さんの説明に乗せられ?、皆プロポリスやらローヤルゼリーやら、何種類かの商品を手に取り次々購入している。中には沢山買っている人もいた。とにかく飛ぶように売れていった。本当に欲しくて買っているのだろうか。疑問に感じてしまった。
何か、買わなければ返れないというような雰囲気も確かにあったが、日本人は全員右向け右というか、人が買ったら自分も買わなければという変な協調性?を持ち合わせているのか、はたまた国民性なのか、やたら商品が売れたのにはかなり驚いてしまった。
店員さんに勧められると断らない、気の良いところが海外では大歓迎されているのだから、悪くないかもしれない。
それに比べて、全然興味を示さず、何も購入しなかった私達は本当に日本人なのだろうか? ちなみに「ぱん」は海外に行った時、グアムでも、ハワイでも「あなた中国人?」と聞かれたのだが…だから、中国系民族の多いここシンガポールでは、シンガポーリアンと誰も疑わないくらいしっくりとはまってしまった。
私達は全然買う気がないので、それを見ていたガイドさんが「バスに戻っていてもいいですよ」と親切に言ってくれたので、そそくさと戻ってしまった。一番のりだ。
少しすると沢山のお土産を手に下げてみんなバスに戻って来た。
ツアーで回るのは足は楽だけど、あまり行きたくない土産物店に立ち寄らなければならないので、時間的ロスが大きく半日がせいぜいだな、と改めて実感した「じゃらねっと」だった。
あーっ、でもこれでやっとお腹を空かせたゆりがランチにいけるのだ。
つづく