第1章 1、 悪夢
年末が迫った12月初めにその事件は起こった。
苦労して何ヶ月も前に12月27日からのハワイ旅行を申し込み、3世代旅行に今年も出かけられるとウキウキしてそろそろ旅行の準備に取りかかろうとしていた矢先のことだった。
この旅行には私〈じゃらねっと〉、主人〈ぱん〉、娘〈ゆり〉、じゃらねっとの両親の5人で行く事になっていた。
「休むはずだった28日に、急にに出勤することになった。だからハワイには行けなくなったよ」
突然ぱんが耳をうたがうようなことを言った。
「えっ?何それ!もう今の時期だともうキャンセル料がかかるんだよ、それにも5人分!」
自分達の都合でキャンセルするとなれば、当然両親の分のキャンセル料もこちらで払わなければならない。
しかしそれより何より、旅行に行けなくなるというのが信じられなかった。
「会社の人で誰か変わって仕事に出てくれる人がいないか、聞いてみてよ。キャンセル料を払う事を考えたら少しぐらい変わって下さった方にお礼を渡してもしてもいいから」
そうは言ってはみたが、果たしてそう上手く見つかるのかあまり期待しななかった。世の中そんなに甘くはない気がした。
結局予想どおり変わってくれる人は見つからず、ハワイの夢ははかなく消えて行った。
じゃらねっと一家の名前の秘密
◎じゃらねっと……ある旅行ブログに使っていてとても気にいっているのでペンネームに
◎ぱ ん……主人の事をが小さい頃から何故かぱんちゃんと呼んでいたので。
◎ゆ り……名前からとった愛称