第一話 山に生まれた一匹の鬼
久しぶりに投稿です。久しぶりすぎて文章におかしなところがあるかもしれませんが、その時はご指摘よろしくお願いします。
人が、己の考えを見透かされる事に恐怖を覚えるのは必然だ。
人が、己の感情を読まれる事に恐怖を覚えるのは必然だ。
人が、己の心を意のままに操られる事に恐怖を覚えるのは必然だ。
―――妖怪とは、人の恐怖の権化である。
「うっ……」
ああ、生まれたのか、と、私は自分の事をまるで他人事の様に認識した。
なぜ生まれたのかも理解できる。何が出来るのかも一応は理解できる。
「……ハァ」
だからと言って、私がこれから何を成すべきかは全くと言っていいほど理解していない。これからどうするか・・・とりあえず、生きていく事が第一目標。第二目標は・・・何にしようか。
特に何もないですね。
「……とりあえず」
まずは状況を確認しよう。
ここは…森の中ですか。いや、森というより山か。食べ物には困りそうにない。
序で自分の事は……。
「…ん?」
米神を触ってみたら何か堅いものに触れた。じっくりと触っていると、先端が尖っている事に気が付いた。
「角……ですね」
米神から一回捻子って上に伸びている2本の角。
「これは……何でしょうかね?」
生まれたのを理解し、己の出来る事を理解しても、常識がある訳ではない。故にこの角の事を理解できる筈も無い。
「……何でもいいですね」
別に困る事でもない。唯、米神から角が生えている。それだけの事。
「さて…どうしましょうか」
当面の目標は生きる事ですが、それでは少々味気ない。ならば…そうですね。
「目標と言うほどの事でもありませんが、この世界を巡り、歩いてみましょうか」
それで見つかるかもしれませんしね。第二目標。
それが生まれたのもまた、必然だった。
妖怪は、人の心や思考のあり方が存在となった者。
人の恐怖を元に生まれたそれは、後にこう呼ばれる事となる。
“覚鬼”と。