純白と真紅
死ネタです。
苦手な人は注意!
いったい何が起こったのか俺は未だに理解できない。
アイツはついさっきまで俺の隣で笑ってて…
雪で白く彩られた道を二人で歩いていて…
寒そうにしているアイツに俺は自分の白いマフラーを首に巻いてやって…
それから…
それから…
雪でスリップした車が俺らに突進してきて…
アイツは俺を突き飛ばして…
俺はその時、目の前の出来事がゆっくり、ゆっくりと過ぎて行く感覚に陥った。
俺を助けてはねられたアイツは雪の上に倒れていて…
純白の雪はだんだん真紅に染まっていった。
俺が渡した白いマフラーも真紅に染まってゆく。
「きゅっ救急車!!早く!!」
通行人が叫ぶ。
アイツの周りには人だかりが沢山できていて、一人雪の上に座っている俺にはまるでテレビの中の出来事のように思えた。
手術室から医者が出てくる。
「岩崎紫さんはお亡くなりになりました」
その言葉が頭に響く。
亡くなった…?アイツが…?
「こちらも懸命に処置は施したのですが出血が多く…」
言い訳のように並べる言葉。
電話をしたら急いで来たアイツの母親が、地面に崩れ落ちる。
何も喋らず、ただずっと泣いているおばさんを見て、いたたまれなくなり、俺はアイツがいると思われる手術室の中に入っていった。
「あっ!ちょっと君!!」まだ中にいた医者達に止められる。
だが俺は無視して入って行く。
手術台には白い布を顔にかけられているアイツがいた。
布をはずすと目を閉じているアイツの顔。
「なあ…何で俺を助けたんだよ…何で突き飛ばした…?…………なあ!!何か答えろよ!!」
医者達は俺を止めるのをやめ、静かに出ていく。
「なあ…笑ってくれよ…いつもみたいにさ…なあ…紫…」
この頬を伝うモノを涙だと理解するのにそう時間はかからなかった。
不謹慎ですよね暗くてすいません。
無性に死ネタ+雪で書きたくなってしまったんです…本当にごめんなさい。
最後まで読んでくださりありがとうございました。(^-^)