灼ける鉄、昼の戦場(前編)
第二章:灼ける鉄、昼の戦場
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西地区運動公園。
昼の太陽は、容赦なく地面を灼いていた。
灰色の空の隙間から差す日差しが、コンクリートを鉄板のように熱している。
俺はアサルトライフルを肩に担ぎ、隣のカナメを見た。
彼はいつも通り無表情で、鋭い目つきのまま、剣を握りしめている。
「暑えな……こいつ、マジで熱波で攻撃してくるぞ」
俺がそう言うと、カナメは冷静に頷いた。
「近づくな。あの熱量は剣を握る手すら焼く」
言葉に含まれる緊張が、俺の背筋を冷たくした。
相手はただの暴走ロボットじゃない。
灼熱の熱波を纏う巨体は、この公園の主であり、俺たちの最大の障壁だ。
「銃撃で牽制しつつ、熱波の弱まるタイミングを探るしかない」
「……なるほどな」
俺は息を整えて、照準を定める。
奴は広い範囲に熱波を放つ。
近づく者を焼き尽くすその範囲は、少しでも油断すれば命取りになる。
「動き、観察しろ。熱波にはパターンがある」
カナメの言葉に、俺は目を凝らす。
確かに、不規則に見えた熱波にも、繰り返される周期があるようだった。
「いけるか?」
「……今だ」
カナメが一瞬の隙をついて走り出す。
その動きはまるで風のように軽い。
だが、間合いに入る寸前、熱波が強まり、彼の前腕を直撃した。
「っ……!」
カナメが顔をしかめ、剣を握る手がわずかに震える。
俺は慌てて銃撃を強化し、奴の動きを封じにかかった。
「落ち着け、俺が撃つから、お前は次の隙を狙え」
「……わかった」
銃弾が暴走ロボットの装甲をかすめ、火花を散らす。
だが、奴は怯まない。むしろ、熱波の範囲が少しずつ広がる。
「やべえ……これ、長引きそうだな」
俺がそう言うと、カナメは無表情のまま首を振った。
「我慢するしかない。ここで倒さなければ、次に進めない」
汗が額を伝い落ちる。
俺の銃口がわずかに揺れる。だが、カナメの冷静な視線が俺を引き戻す。
「あと少し……!」
熱波の周期がまた弱まった瞬間。
カナメが再び突撃した。
「いくぞ!」
剣が閃き、装甲の隙間を正確に捉える。
煙が上がり、機体がぐらりと傾いた。
「よし、続けるぞ!」
俺は銃撃を続け、カナメは隙を逃さず斬り込む。
二人の呼吸が少しずつ合ってきた。
「このまま押せるか?」
「まだ油断はできない。だが、勝機は見えた」
熱波の熱気が依然として肌を焼くが、確実に奴は弱っている。
俺たちは戦場の中心で、一歩ずつ勝利を掴もうとしていた。
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