砕けた誇り、明かされた輪
短編予定で描いたのでここまでです。
最終回みたいよ書けよ的なコメントや評価一つでもあれば続編書こうかなーぐらいのモチベです。
では、最終回どうぞ
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第四章「鍵と騎士」
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鉄の騎士は膝をつき、蒸気を噴きながら動きを止めていた。
燃え尽きたような沈黙の中、ユウトとカナメは警戒を緩めず距離をとる。
「……終わった、のか?」
ユウトがぽつりとつぶやくと、カナメは剣を下ろしたが、目はまだ鋭い。
「油断するな。まだ機能が完全に停止したわけじゃない」
その言葉の直後、ギギギ……という不快な電子音が鳴った。
騎士ロボットの胸部装甲がゆっくりと開き、中からスピーカーのような装置が現れる。
「――その力、確かに見せてもらった」
さっきまでの鋼のような声とは違う。どこか、静かで……寂しげな音質だった。
「え……お前、生きてんのかよ……」
思わず身構えるユウトに、騎士の声が続く。
「私は、かつて人間とともに戦った存在。だが人間に裏切られ、廃棄された者。……それが我らの始まりだ」
“我ら”? 今、こいつ……なんて言った?
「お前……一人じゃないのか?」
カナメが低く問いかける。
「……我らは十三体。選ばれし“騎士”たち」
背筋に冷たいものが走った。
「なんだって……?!」
「お前たちは、そのうちの一体をようやく倒したにすぎない。――物語は、まだ始まったばかりだ」
そして、装甲の隙間から、ひときわ硬質な音を立てて“鍵”が落ちた。
金属製の小さなパーツ。だが、重みがあるように感じた。
カナメがそれを拾い、しばし無言のまま見つめた。
やがて、静かに口を開く。
「これで……4本目か」
「……まだあるのかよ……」
ユウトはため息をつきながら空を見上げた。
灰色の空は、何も答えなかった。
「……最後に、伝えておこう」
騎士の声がまた響く。
「“騎士王”だけは、止めろ。それだけが我らの……願いだ」
そして、完全に沈黙が訪れた。
音も光も、失われたかのように。
「騎士王……?」
カナメが低くつぶやく。
「つまり、十三の中でも中心となる存在がいるってこと……?」
「おいおい、ラスボス倒したと思ったのにあと九体とか、マジかよ」
だがカナメは背中に剣を戻し、まっすぐ前を見据えた。
「……わかりやすくなった。目指す場所も、戦う相手も」
「前向きすぎだっての。――でもまあ、俺も……降りる気はねぇけどさ」
ユウトは鍵を握りしめた。
物語は、ここからが本番だった。
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【記録データ抜粋|機密解除済み】
対象コード名:E-07(通称:騎士ロボット)
形状:旧式の戦術型人型機兵。騎士のような外装と大型の盾・剣を装備
特徴:防御重視の機動装甲。関節部の強化により近接戦特化
行動傾向:人類の裏切りを契機に暴走化。論理判断は維持
特殊行動:接近戦と衝撃波の複合使用。戦闘時に過去記録を再生する傾向あり
備考:確認された個体は、13体のうちの1体とされる
※名称・詳細構成は後日解析予定