第27話 ルーンマスター
全く……こんなことになるなんて思ってもみなかったよ。
お嬢ちゃんとボーヤに戦いの経験をさせるためにゴブリン退治を冒険者ギルドで請け負って来てみれば、虎頭人なんて魔物に遭遇しちまうとは。
虎頭人は、虎の頭を持ち人間のように二足歩行する魔物だよ。
背格好は人間に似ているけれど、似て非なるものだねぇ~。
全身を虎柄の体毛に覆われていて、腕や足は虎のものと同じだねぇ~。
手の指は短めなので、武器を持つことはできそうにないが、爪先が鋭く尖りこれが凶器になりえる。
大柄な体格の上に身体能力は相当高い。
腕を振るえば大木など簡単にへし折っちまうくらいの腕力を持っている。
そんな一撃を貰ったら、ただじゃあ済まない。
下手すりゃ、一撃であの世行きだよ。
脚力も並外れている。
背の低い木などは簡単に飛び越えられるほどのジャンプ力を発揮しやがる。
だけど、二足歩行のせいか、移動速度はそれほどでもないとあたいは思うねぇ~。
そんな虎頭人は、腰を覆い隠すように腰当を身に着けていた。
しかも、鋼鉄製の腰当だよ。
魔物にそんなものを作り出せる技術があるとは思えない。
心当たりがあるとすれば、ゴブリンどもが隊商から奪った防具をこの虎頭人はゴブリンどもを皆殺しにして奪い取ったということだねぇ~。
魔物同士で争い合うのは構わないけれど、こうもあたいらに敵意を向けてくると胸糞悪くなる。
虎頭人は、冒険者ギルドの討伐依頼ではBランクの依頼に出てくる魔物だよ。
あたいとマックスは、Bランクの冒険者だから討伐依頼等で見かけたことはある。
当然、何度か討伐したこともある魔物だよ。
だけど、今日はDランクのお嬢ちゃんとボーヤのゴブリン退治の付き添いで来ただけなのに、虎頭人何ぞと遭遇しちまうとは運がないねぇ~。
いや、お嬢ちゃんとボーヤにとっては、運が良かったというべきだろうけどねぇ~。
なんせ、虎頭人を討伐したことのあるあたいとマックスが一緒にいたんだからねぇ~。
だけど、油断ならない相手であることは、虎頭人の動きを見ればすぐに分かった。
軽快で俊敏な動きを披露し、あたいの短剣の攻撃をあっさりと躱し、マックスの攻撃をも軽々といなしやがった。
その後、お嬢ちゃんに向かって、鋭い爪を躊躇いもなく突き刺そうとしやがった。
だが、お嬢ちゃんの騎士がそれを見事に阻止していた。
黒髪に褐色の肌をした少年の持つ小剣……『エアブレード』から放たれた風の刃が、虎頭人の右腕を肘から切り落としていた。
死角からの攻撃だったため、避けることができなかったようだねぇ~。
「ボーヤ、よくやったよ」と、つい叫んじまったよ。
まさか、街の露店で値切って買った刃のない剣が、こんなにもとんでもない能力を秘めた剣だとは思わなかったよ。
柄の部分に埋め込まれた紫色をした魔法石の中には、風の精霊の肉体が封じ込めてあったらしい。
あったらしいというのは、あたいにはその風の精霊の姿を認識することができていない。
お嬢ちゃんとボーヤには、風の精霊の姿が見えているらしいが、あたいには認識できない。
魔力が強いあたいが認識できないのは納得がいかないけれど、見えないものは仕方ない。
だけど、この『エアブレード』って小剣は、ものすごい剣だねぇ~。
斬りたいと思って剣を振るえば、どんなものでも斬れちまう。
鋼鉄製の鎧ですら、豆腐のようにスパッと斬れる。
恐ろしい威力だけれど、当たらなければその効果は発揮できない。
しかも、魔力を相当消費するようで、ボーヤは連発しまくってぶっ倒れたりしていた。
極端に魔力を消費すれば、死ぬこともあるっていうのに。
おかまいなしにぶっぱなしちまうから、困ったもんだよ。
魔力の消費と言えば、この『エアブレード』は真正面に構えた状態で相手から攻撃を受けると、風の壁を作り出して魔法でも物理攻撃でもはじき返しちまう能力も持っていやがる。
鉄壁の防御を誇る壁を生み出せる。
ただ、これも魔力を消費するので使い勝手はよくなさそうだけれど、鉄壁の防御は魅力的だった。
まあ、この『エアブレード』の能力は、風の精霊に気に入られたボーヤだけの特権ともいえた。
お嬢ちゃんとボーヤが言うには、風の精霊の女王であるシルフィード・シルフィーユにボーヤは気に入られちまったみたいだった。
風の精霊の女王が味方に付いているのならば、鬼に金棒……いや、風の精霊の加護は強力な力となるだろうねぇ~。
そのボーヤは、愛しいお嬢ちゃんの前に勇猛果敢にも立ち、『エアブレード』を構えて守りの体勢に入っていた。
それでいいとあたいは思う。
攻撃に転じて無駄に魔力を消費するよりかは、防御に徹した方が損害は少なく済みそうだった。
「ボーヤ、そのまま剣を……」
あたいが指示を出そうとしたとき。
あたいの視界に何かが入った。
とっさに身体が動く。
左手側に倒れこむように体をねじって、間一髪躱した。
あたいの頭があった場所を何かが通り過ぎて行った。
その後に風圧が襲い来る。
崩れた体勢だったため、あたいは思わず尻もちをついちまったよ。
だが、すぐさま立ち上がる。
襲い来たモノに視線を向けた。
「何だって?」
あたいは驚愕の声を張り上げていた。
「虎頭人がもう一匹だと?」
あたいのそばにいたマックスが声を上げた。
マックスの言う通り、もう一匹虎頭人が現れた。
一匹でも厄介なのに二匹目が現れるとはねぇ~。
「うわぁ~、セレスさん。もう一匹増えたよ」
驚き戸惑うボーヤの声が耳に入った。
今、あたいもその存在を確認したよと言おうとしたが、声を出す前に、あたいは絶句していた。
ボーヤの言ったもう一匹とは、三匹目の出現を意味していた。
「虎頭人が三匹も?冒険者ギルドは、こいつらの生態を把握していないのかい?何やってんだい、あの街のギルドの連中は!」
悪態が口を突いて出る。
イレギュラーが起きることは、仕方ないことだと思うんだけれどねぇ~。
でも、ゴブリン退治という討伐依頼にDランク冒険者がやって来たら、Bランククラスの魔物が出てきたとなりゃあ、Dランク冒険者に待っている結末は、容易に想像ができちまう。
ここ一帯に転がるゴブリンどもと同じ運命をたどることは必至だろうねぇ~。
「まずいぞ、セレス。虎頭人が三匹なんて想定外だ。俺とお前二人でなら何とかできそうだが、嬢ちゃんとボーズを何とかしてやらねぇ~と、このままじゃあ……」
普段は余裕綽々で焦ったりしないマックスが、慌てふためいていた。
それほどまでに想定の範囲を超えた状況になっているということだった。
あたいのそばにいた虎頭人が鋭く尖った爪を向けてくる。
咄嗟に短剣を前に突き出して対応していた。
考えるよりも身体が反射的に反応していた。
発動していた水の魔法……あたいが逆手に持つ二本の短剣……『白銀の刃』と『黒鉄の刃』の刀身に纏わりつかせて、威力を増幅していた蛇のようにうねる水流は、迫って来た虎頭人の腕が接触すると拒絶するかのように弾いた。
虎頭人の攻撃を弾き返せはしたものの、とんでもない馬鹿力のせいであたいの腕は一時、痺れをきたした。
「絶対にギルドに文句を言ってやるよ」
「ああ、そうだな。そのためには、こいつらを全員ぶっ飛ばさないとな」
あたいの意見に同意するようにマックスは大剣を構えた。
「マックス、一匹はあたいがやる。あんたはボーヤたちの方にいる二匹を頼む」
「二人を守りながらってのは、ちょっとばかし厳しいな」
「それなら、あたいに考えがあるよ」
マックスにお嬢ちゃんとボーヤの方へ行くように顎をしゃくる。
踵を返してマックスは二人の方へと駆け出していく。
「ボーヤ、良くお聞き。その『エアブレード』を構えて徹底してお嬢ちゃんを守りな。攻撃は絶対にするんじゃないよ」
あたいはボーヤに向かって叫ぶ。
「ええっ?でも、攻撃しないと倒せないよ」
不満そうな声がボーヤから返ってくる。
攻撃しなければ倒せないってのは、その通りだねぇ~。
だけど、ボーヤやお嬢ちゃんの力では到底かないっこない。
下手に戦えば命を落とす。
それならば、鉄壁の守りで身を守ってもらった方がこっちとしても安心して戦えるってもんだい。
「ボーヤが倒す必要はないよ。あたいとマックスで虎頭人はぶちのめす。ボーヤは何が何でもお嬢ちゃんを守ることだけに徹しな」
ボーヤは、どうしよう?といった表情をしている。
なので、あたいは一気に畳みかける。
「大好きなお嬢ちゃんを守れるのはボーヤしかいないんだよ。命を懸けてお嬢ちゃんを守りな。これはボーヤにしかできないことなんだよ」
あたいの言葉に大きく頷き、「アテナ様は、絶対に僕が守る」とボーヤが高らかに宣言した。
これでいい。
攻撃と防御の両方に魔力を割いたら、あっという間に魔力が尽きちまうはず。
攻撃をさせなければ、無駄に魔力を消費しない。
防御で魔力を消費するのは仕方ないにしても、魔力を無駄にしない分だけ長持ちはするはずだよ。
けれど、悠長なことはしていられないねぇ~。
ボーヤの魔力は、あたいなんかと比べればはるかに少ないんだから。
とりあえずは、目の前の虎頭人を確実にぶっ倒すことだけに今は集中する。
あとは、これ以上虎頭人の数が増えないことを祈りながらだねぇ~。
「あんた、人間にでもなりたいのかい?そんな格好しちまって。似合ってないよ」
目の前の虎頭人は、胸元を覆う様に鋼鉄の鎧を身に着けていた。
長い布が地面に垂れ下がる腰当まで身に着けていやがる。
腰当は実用性があるものというよりは、おしゃれ要素が強いものと思われるものだねぇ~。
あんなにも長い腰布は、邪魔にしかならないのに、そんなこと歯牙にもかける様子はない。
知能の低い獣の考えることは理解しがたいねぇ~。
あたいの言葉を安い挑発とでも受け取ったのか、虎頭人は自慢の脚力を生かして鋭い突進をしてきた。
意外と早い。
左手の短剣……『黒鉄の刃』を身体の前に構える。
まともに受け止める気はない。
受け止めたらさっきと同じ目に合うことだろうねぇ~。
猪突猛進しつつ振り下ろしてくる虎爪を右へと跳ね飛びながら躱す。
だけど、『黒鉄の刃』に纏わせていた水の魔法に虎爪が僅かに触れた。
蛇のように刀身を高速で這いずり回る水流は虎爪を弾く。
掠っただけでも衝撃が腕に伝わり、重たい一撃であることがわかる。
「接近戦は、やばいねぇ~」
あたいは、素早く距離を開けると二本の短剣の刀身を包み込むように荒れ狂う水流の蛇を水玉へと変化させる。
今度は蛇ではなく、飴玉程度の大きさの無数の水の球が『黒鉄の刃』の刀身の周りを駆け巡っている。
「これでも喰らいな。水球の乱雨」
『黒鉄の刃』をやや離れた虎頭人に向けて振り抜いた。
刀身の周りをグルグルと駆けずり回っていた水玉が弾かれたように飛び出していった。
虎頭人は、飴玉程度の水の塊とでも思っていたことだろうねぇ~。
水玉の見た目は、そうだけれど。
それは、迎え撃とうとしていた虎頭人の目の前でいきなり膨張した。
あたいは水の塊を圧縮に圧縮を重ね、極限まで圧縮して小さな水玉にしていた。
それを解放して放ったのだから、圧縮された水玉は元の姿に戻ろうとしてその大きさを一気に増す。
飴玉程度の水の塊は、拳大の水玉へと変貌した。
目の前で、その大きさが変わっては避けようがないはず。
虎頭人は、虚を突かれたような顔をしてなお、虎柄の毛皮に包まれた左腕を横に薙いだ。
虎頭人の腕に触れた瞬間に圧縮されていた水玉が勢いよくはじけた。
その衝撃をまともに受け、肉がえぐられてはじけ飛び、骨を粉々に粉砕する。
急激に膨張する水玉の威力に虎柄の体毛を持つ身体は耐えられなかったようだねぇ~。
その時になって虎頭人は、この魔法が危険なことに気づいたようだ。
後ろへと飛んで身をよじる。
無数に飛び交う水玉をすべて回避することなんてできるはずがないよねぇ~。
あたいは雨あられのように水玉を広範囲にばらまいてやったんだから。
足やわき腹に触れた水玉が次々に膨張して虎頭人の肉体を破壊していく。
胸元にも水玉が直撃をしたが、身に着けていた鎧がひしゃげた程度だった。
ちっ……と、あたいは舌打ちした。
虎頭人の身体のあちこちに傷を負わせたけれど、身に着けていた鎧に守られたようで、致命傷は与えられなかったようだねぇ~。
恨みがましそうな双眸があたいを睨みつけてくる。
左の頬辺りにも水玉が当たっていたようだねぇ~。
左頬から耳にかけての肉が裂けて、生意気にも赤い鮮血を垂れ流していやがるよ。
左腕は血に塗れ、だらりと力なく垂れ下がっている。
右の太ももには向こう側が見える風穴があいている。
それなりに重傷は与えられたようだねぇ~。
「ガァァァァァ」
怒気を含んだ雄たけびを放ってきやがった。
なんだい?
負け犬の遠吠えかい?
こんなにも負傷するとは思っていなかったんだろうねぇ~。
鼻息を荒くして、金色の双眸が憎悪に塗れているようだよ。
返り討ちにされて怒り心頭のようだけれど。
「だったら、あたいらに対して喧嘩を売ってくるんじゃないよ」
あたいは、右手に握っていた『白銀の刃』を振り抜く。
『白銀の刃』の刀身に這いずり回っていた水の蛇が一直線に虎頭人へと向かって飛び掛かっていく。
それが危険なものだと察して、跳ね飛んで躱しやがった。
右太ももに風穴があいているのに、数メートルの高さまで飛び上がりやがった。
そのまま落下速度を攻撃に転嫁して右腕の爪を突き立ててくる。
あたいが両手に握る短剣には、何も魔法が纏わりついていない。
それを好機とでも思ったんだろうねぇ~。
「あたいは『魔法使い』だよ」
あたいは口元をニヤリと歪めていたことだろうねぇ~。
魔法使いは、『ウィザード』と呼ばれることが一般的だよ。
中には、女の魔法使いを『ウィッチ』と呼んでいる奴もいる。
けれど、そんなことはどうでもいい。
言いたい奴には言わせておけばいいし、自ら名乗る奴もいるからねぇ~。
好き好きに名乗ればいいさ。
あたいは、『古代語』を使った魔法を扱う魔法使い。
『古代語』とは、遥か大昔の古代文明で使用されていたという魔法の文字のことで、『魔力文字』とも呼ばれていた。
古代の人間は、神からこの『魔力文字』を授かり、魔法を具現化していたといわれている。
しかし、今ではあまり使われてはいない。
それは数百年前に大海に沈んだ魔法文明を極めた大国……魔法大国マジックワンドがなくなっちまったからだ。
魔法大国マジックワンドでは、この『魔力文字』を活用して、それはすごい魔法文明を築いていたとも聞く。
だが、その魔法文明の大半は魔法大国が海に沈んだことで、一緒に失われてしまったらしい。
それでもわずかに生き残ったマジックワンドの住人によって『魔力文字』は、完全に失われることなく残される形となった。
だけど、その『魔力文字』を扱うことができる人間は少ない。
『魔力文字』は、いつしか『古代語』と呼ばれ、今に至る。
『古代語』は、武器や防具、アクセサリーなどに彫りこんだり、書き込むことで不可思議な力を発現させる源のような存在として扱われている。
その『古代語』に魔力を流すことで魔法が発動される。
あたいの額に巻かれている鉢巻みたいなもんには、『古代語』がびっしりと書き込まれている。
これに魔力を流すことで、あたいは魔法を発動しているのさ。
だから、呪文の詠唱なんてものは必要はない。
『古代語』を理解していれば誰でも扱えるが、『古代語』を探求し、理解する者はそう多くはない。
何故なら、『古代語』を理解するよりも、呪文を覚えて詠唱すれば誰でも魔法は発動できる。
ただし、魔力を持つ者でなければ魔法は使えないけれどねぇ~。
難しい『古代語』を理解するよりも、呪文という名の文字の羅列を覚えた方が簡単であればどちらを選ぶんだい?
そりゃあ、簡単な方を選ぶだろうねぇ~。
だけど、あたいはあえて『古代語』を選んだよ。
魔法使いって響きがすごく心地よかったからねぇ~。
今は、それを選んで正解だったと心底思っているよ。
あたいは、使用したい魔法をイメージして額の鉢巻に魔力を流す。
『古代語』を選び、魔法を組み上げていく。
それは瞬時に魔法となって発動する。
あとは、発動した魔法を『白銀の刃』と『黒鉄の刃』の刀身に埋め込まれた魔法石で増幅すればいい。
これが、あたいの魔法……『古代語魔法』だよ。
バチバチバチっと激しい音を立てて、二本の短剣が火花を散らす。
それは途端に雷撃の嵐となって荒れ狂いだす。
右腕を突き出して飛び掛かってくる虎頭人は、驚愕の表情をしていた。
一瞬にして魔法が発動するなんて思ってもみなかったようだねぇ~。
「喧嘩を売るときは、返り討ちに会う覚悟を持って売りに来な」
あたいは両手を頭上に掲げ上げる。
二本の短剣の刀身は、眩いばかりの閃光に包まれている。
「雷撃」
荒れ狂う雷をあたいは解放する。
押しとどめられていた雷は自由を得て天に向かって飛翔した。
飛び降りてくる虎頭人に向かって。
雷撃は、蜘蛛の巣のように宙を這い、虎頭人の全身を一瞬にして包み込んだ。
高電圧の雷撃は、いくら強靭な肉体を持つ魔物であっても、この強烈極まりない一撃には耐えられはしないだろうねぇ~。
断末魔を上げて、虎頭人の身体は地面に激突した。
受けた雷撃によって腕や太ももに負っていた傷口が焼け焦げ、虫唾が走るような臭いが漂ってきやがった。
「獣臭いったらありゃしない」
動かなくなった虎頭人の虎頭を蹴り飛ばし、あたいは他の連中の様子を窺うために意識を周囲に向けた。




