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郵便物
第24回新風舎出版賞、3次審査落選作品(笑)
右隣の部屋を通り過ぎ、自分の部屋の扉の鍵を開けると、玄関にビニール傘を置きながら扉に付いている郵便ポストを何気なく覗くと、ピザ屋などのチラシがいくつか入っていた―
入居してから数日経つと、郵便物に知らない人の物が混入している事があった。しかし、住所も部屋番号もあっているので、どうやら前の入居人の物らしく、名前を見るなり女性のようで、郵便物には女性向けの通販のカタログや、美容関係の物がほとんどで、前の入居人は、どうやら若い女の子で、とてもオシャレさんだという事が読み取れた。その郵便物は、あまり重要な物ではないと思ったので、最初は捨ててしまっていたが、何回も同じような所からふみ子(仮)の郵便物が来るので、「またふみ子(仮)のだよ」と、郵便物に“本人異動につき受取拒否”と書いたフセンを貼って、郵便ポストに投函した。フセンに書いた言葉の選択は正しかったのか分からなかったが、それ以来、ふみ子(仮)の郵便は届かなくなり、意味分からないが、ふみ子(仮)とも関係もそこで終わった。
続く...




