怪異の女
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
生々しい下品な話を気合いで上品にしてます。
耽美奇譚です。
女がベッドの上で体を崩している。目の覚める様な鮮血の着物は花魁の様に気崩され、合わせ目から生っ白い膨らみを晒す。夢見る様なぽやんとした瞳には、芳香を隠す様な虹色の色眼鏡。
その歪な、赤が似合い過ぎる女が、壊れ掛けの人形の様な不気味な美しさを際立たせていた。
「……っ」
美女に欲情するのは、おかしな事じゃない。粗末な物をおっ立てるのは、自然な事だ。男ならば誰でもある事だろう。だがこの怪奇な今に当てられる輩は居ないのでは無いかと思う。身の毛もよだつような怪異に、お前達は発情するだろうか?
女はねっとりとした視線を俺に浴びせかけると、股座に視線を止めた。其れから薄ら笑いを浮かべて、ころころと笑った。
「可愛いのね、貴方。私は貴方のものだから、好きに扱って頂戴」
ただそう言って、女はこの部屋を後にした。
女が此処を離れても、胸のざわめきが止まる事はなかった。体中を巡り、下半身に熱が籠るのを感じる。それは女が此方を凝視した時の比ではなかった。堪え切れない程に熱を帯びていた。
暫しの葛藤の末に、塊を取り出して一人遊びに興じる。前を寛げて、欲の象徴を弄り、息を荒あげる。醜い獣の様な自らの姿に、自虐と虚しさと罪悪感を覚える。それでも辞められない。
脳裏に浮かぶのは、あの壊れた人形の様な不気味な女の姿。怪異が人間の成りした様な女の姿。それでも夢中になるには十分過ぎる程の魅力があった。
「っ……ぅ……」
高まって、いじらしく、悦の蜜が心の杯から溢れたその時に、雄の象徴も限界を迎えた。掌に注がれる欲望を、ただただ虚空な心情で眺める。心の何処かで人外に恋をしたと思い知らされた。
しかし余韻に浸る間を、神はお与えにならなかった。
「私を思って扱くのは、如何だった?」
やや低めの艶のある声。先程俺を愛玩した声。朦朧とした意識を叩き起し、声する方へ視線を向けると、女がいた。いてしまった。
思わず息を飲む。登り詰めた熱に冷水を浴びせ掛けられた様に冷静になる。見られた羞恥で一杯だった。
「なんで……」
「少し席を外しただけだもの」
そう言って、四つん這いになって、顔を近付ける。顔を、脇を、くびれを辿り、今まさに欲を吐き出した半身を凝視する。其れから上目遣いに此方を見て、また、ころころと笑った。
「勿体ない。呼んでくれれば、想像よりも、うんと良くしてあげたのに」
そう言って、舌を出す。『今からお前を食らう』という様に。
オマケ
「私を思って扱くのは如何だった? お手付きするのは如何だった?」
此奴を思って慰めた事を、特段気にしてはいないようだった。寧ろ其れさ肴として喜ぶ。
「……虚しかった。罪悪感で一杯だった。悦に浸っている癖に……」
「罪悪感を覚える必要はないのよ。だってもう、私は貴方のものだから」
最近のマイブームは色眼鏡です。
美し過ぎるものって、三秒以上見れなくないですか?
自分の何かが壊れそうになりません?
一種のキュートアグレッションと言いますか。
別に怪異って訳ではないです。
ただ恐怖さえ覚える程に美しく、不気味な程に妖艶な女という意味でこう言ってます。
不気味なものを見て発情して、自慰する異常さを謳った話。
本当はツンデレな子が、好きな子浮かべて葛藤する話だったんですけど、その可愛らしさが何処かへ消えました。女に食われました。
でも名残として、平常時の主人公はツンデレです。
『此奴』呼びしてるのもその為。