12:彼女の思い4
「別れよう」
彼が私に告げてきた。正直、私はそもそも彼にそんなに入れ込んでいない。でも彼と別れることで君を感じれなくなることが怖かった。
「……ちょっと待ってて」
そういって私は寝室へ向かう。そうだ、どうせなら最後に彼を強く感じよう。そう思い金属バットを手にする。部屋に戻りバットを振り下ろして、彼を気絶させる。
「見ていて下さいね、今から一番おっきな愛を見せるから」
普通の人には出来ない愛の表現方法。君だから特別に見せてあげる。
彼を車に乗せコテージへ向かう。しばらく走っていると人気のない森の中に入っていった。目的の場所につき、トランクをあける。
「あ、起きてる」
「おい、ふざけるな! 何考えてるんだ!」
まあ起きててもいいか。
「……よいしょ、っと」
彼を無視して彼を運ぶ。私は今から彼に愛情を表現するのだ、彼の言葉など無価値に等しいので無視をする。
きぃぃ、というドアが開く音。
「おい、やめてくれ! 俺が悪かったから!」
彼を運び、椅子にくくりつける。
私はこれから君に最大限の愛情表現をします。きっとここまで見てくれた君ならこの愛情表現を分かってくれるはず。ううん、私の愛は伝わらなくても別に構わない。でも私がどれだけ君の事を恋焦がれて、探して探して探して、ようやく見つけて、君に嫌われるかもしれないと分かっていながら彼と付き合って、それでようやくつかんだ君の姿。そんな君の事を私が好きだったという事実、それだけを知っていてくれれば構わない。
だからこれから彼にやることを。
「みててね」
「おい! 話を聞けって!」
鋸を彼の首に当てる。ほら少しずつ、少しずつ彼の首に食い込んでいく。
「やめ、やめてくれ!」
いくよ? せーの!
彼の首切れる、切れた傷口から赤い血が勢いよく噴き出してきた。
アハ、アハハハハ。アハハハハハハハハハハ! ほら、君をいつもより少しだけ強く感じることができた。
「君は……こういう子が好きなんだよね?」
画面の向こうの君に、私は語り掛けた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
以上で、『君に恋したヤンデレ彼女』は終わりとなります。
仕事中、ふとヤンデレを書きたくなってしまい書いてしまいました。
もしかしたら他で既出の表現方法かもしれませんが、ご容赦頂けると嬉しいです。
良ければ他にもいくつか書いてありますので、作者ページから飛んでそちらも是非みて下さい。