カナエの危機に…… 妖精機神姫目覚める!?
「ちょっ、なんとかしないと!」
『城塞都市のメインシステムが起動していませんので…… 最低限のバリアしか展開出来ません』
「なら! 今すぐに、メインシステムを起動してよ!!」
『マスター登録後にメインシステムが完全起動するまでに…… 約1300秒ほどかかります』
「長いのか短いのか解り難い! と、とりあえず、マスター登録をして、メインシステムの起動を開始して!」
『砲撃…… 来ます』
ドッゴーン!!
「うきゃあ~!?」
『バリアのエネルギー損耗率から算出…… 次の敵艦からの砲撃に、バリアが耐えられる確率は…… 3.14%です』
「円周率!? 反撃は…… なんか無いの?」
『格納区画に数機の試作機神がありますが…… 起動出来る保証はありません』
「格納区画に行くよ! マスター登録は?」
『選定の首飾り装着者の許諾を確認…… 選定の首飾り装着者を新たなマスターとして登録します。マスターの申請により、メインシステムの起動を開始します。メインシステムの起動まで、約1291秒です』
「格納区画に行くには?」
『マスターと格納区画に転移します』
光包まれて…… カナエとバケツ頭のロボットは、城塞都市の格納区画に転移した。
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「此処が…… 格納区画?」
『いいえ…… 此処は格納区画ではありません。何かが転移時に干渉して、別の区画に転移しました』
「別の区画にって! 敵が迫って来てるのに!?」
『現在地を確認中…… 現在地は、前マスターが封鎖した第10機神開発ドッグの中です』
「前マスターが封鎖……!? これは…… 首飾りが反応してるの?」
『マスターに転移反応…… マスターが転移します』
「え、ちょっ」
『マスターの転移を確認しました』
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「と、待ってぇ~!……って、また転移したの…… 今度は、何処?」
『選定の首飾り装着者を確認…… 映像データを再生します』
「映像データ?」
『これで良いのか? えっ、もう録ってるって!?』
転移したカナエの前に、映像が映し出された…… その映像には、見覚えがある白衣の女性が現れた。
「エンダさん!?」
『え~…… 私の名は、エンダソン…… 機神開発者の【スミス・エンダソン】だ』
その白衣の女性は…… 夢の中のゲームで、カナエの愛機の元となった機神などを始めとした古代機神の開発者の【スミス・エンダソン】…… その人だった。
『選定の首飾り装着者よ…… 君は今、私の最高傑作にして最低の欠陥機神の操縦席にいる』
「機神の操縦席に…… シートや操作レバーとかは?」
『この機神は…… 操縦者の魔力と技量が試される機体だ。先ず、前提条件として…… 起動には、全属性とかなりの魔力量が必要とされる。さらに、機体の操作はだが…… 操縦者の動きが機体の動きになる〝ダイレクトリンクシステム〟を採用している。その為に操縦者は…… 高位魔法使いや賢者の様に全属性の高い魔力を保有して、戦闘職の適性が無いと…… まともに扱えない機体となってしまった』
「自重してよ!」
『幸いにも、神々の争いは、我ら最高神側の勝利で終決するだろうから…… この機神を空中城塞都市ごと封印する事にする…… 邪神の残党に悪用されては困るからね。この映像データが流れていると言う事は…… 操縦席の君は、全属性の魔力が起動する最低ラインを満たしているのだろう…… しかし、起動は慎重にする事だ…… もし、魔力が起動の最低ラインギリギリか、身体技能が充分で無い時は…… どうなるかは保証出来ない』
ドッゴーン!!
「くっ! 振動が激しくなった!?」
『砲撃により、バリアが消失…… 外装に積もっていた土砂が吹き飛びました』
「このままでは…… え~い! やってやる…… やってやるんだから!!」
『それでも…… 乗ると言うのならば、君に託そう…… 私の〝妖精〟を、宜しく頼むよ』
「妖精…… そうか…… あなたが……【妖精機神姫 フェアリエ】…… 起動!!」
カナエの身体から、機神に魔力が流れ込むと……
キュピーン!
激しい光を放ちながら、封印を引き千切って…… 機神が立ち上がると……
『封鎖区画で機神の起動を確認…… 起動した機神の存在が消えました…… 転移の可能性が高いです』
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「ロ、ロデス様、機神が…… 機神が、艦の前に現れました!?」
「言われなくても見えてる! はやく迎撃しろ!」
「くっ、此処は…… 外? 敵艦の前か!」
城塞都市の封鎖区画から、ロデスの戦艦の前に転移した妖精機神姫フェアリエの中で……
カナエの姿は…… 少女から大人に変わっていた。