カナエとユメは、自軍を着々と強化する。
「どうかな?」
『うむ…… 二本足で動くのに慣れんな……』
「そこは、徐々に慣らすしかありませんね」
「一応、アシストする自動動作サポートシステムも付けるけど…… いざと言う時に動ける様に慣れてね」
『わかった……』
せつなのパワードスーツことセバスチャンのデータを基に、開発した狼型と人型に可変するバトロイド……
その起動実験に、【ウー】だと思われる黒い猛獣の魔狼とカナエ、エナが挑んでいた。
「セバスチャンの稼働データがあるから、慣れれば人型の方は問題無しだね」
「はい、問題は…… 狼型の方ですね。データベースにモーションデータがありますが…… 実物の細かい動きは、作りながら調節するしか…… 無さそうです」
『苦労をかける……』
「まあ、どうせ機神も作るからねぇ…… その時のデータ収集だと思えば楽しいよ♪」
「主様……」
『お主…… 変わっているなぁ……』
「うっ…… 自覚はあるけど、自重しないからね!」
「それでこそ私だよ!」
と、ユメが現れた。
『もう一人の変わり者が来たか……』
「ユメ様…… 姉さんと鹵確した機神を調べていたはずですが?」
「それなんだよ! エナ」
「何か解ったの?」
「鹵確した機神達だけとねぇ…… 機体自体はありふれた量産型だったよ」
「そう…… で、何で嬉しそうなの私?」
「ふっふっふっ…… 実は、全地形に対応した通信システムと自動運転の指揮システムが搭載された機体があったの♪ これで、〝レギオンシステム〟と〝遠隔兵器〟の開発が進むわ」
ユメのテンションが上がるのも無理がない。
全ての地形に対応した通信システムと自動運転の指揮システムは、遠隔兵器…… 所謂〝オールレンジ兵器〟の性能に繋がる。
これらのシステムをさらに性能アップする事で、カナエとユメが見た夢の中の兵器〝レギオンシステム〟を完成させる事ができるのだから……
「レギオンが完成すれば、指揮管機に一人と対応した機神を製作するだけで、軍隊になるからね」
「これで、此処の防衛力がさらにパワーアップするよ」
「そうだね。とりあえず、最初の搭載機は何にする?」
「そうね…… そろそろ〝ストーリー計画〟の開発に入っても良くない? 私の【レイヤー・F】も再現したいし……」
「ストーリー計画か…… 折角だし、夢の中では作らなかった〝タロウシリーズ〟も作りたいかも♪」
「タロウシリーズか…… それって、〝ヒーロー型〟になるよね?」
「まあ、タロウだからね」
「それなら、先ずは……【アリス】からでしょ?」
「確かに…… じゃあ、ゴールドオウジャとウルバーン達の後は…… アリスを製作しましょう」
「了解♪」
カナエとユメが二人に別れた事で、生産力が爆上りし……
着々と機神系の強化が進むのだった。