幼き神子に応えしは…… 大神なる魔狼の魂!!
あの子達も…… 登場です!
「くっ…… せっかく生け贄として、幼き〝神子〟を用意したと言うのに…… こうなれば、この神子をオロチに組み込んで……!?」
ベア王の猛攻に押されるヤマタノオロチを強化しようと、狐の獣人女性の姿をした玄黯が眠る様に横たわる幼い少女に目を向けると……
「神子が…… 反応している…… まさか、新たな〝猛獣〟が目覚めるのか!?」
『ウッ…… オォォォォォ!!!』
「「「「「「「!?」」」」」」」
猛獣塚が震える程の咆哮が響き渡る!
『何だ!?』
『アレは…… 崩れた石柱が光ってる!?』
「くっくっくっ…… フッハッハッハッハッ! 感じるぞ、感じる! 強大で獰猛な獣の息吹を!! 今こそ、この神子の命を糧にワシの元に平伏すが良い!!!」
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同時刻の猛獣塚の外で……
「今のは!?」
「この感じは…… まさか!?」
外部の警戒をしていたフェアリエの中で、カナエとユメに〝知っている存在感〟を感じた。
「ユメ!」
「行って、〝あの子達〟を助けに!」
ユメの言葉に、カナエが力強く頷くと…… 転移した。
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「うぅ……」
「さあ…… 強大なる獣よ…… 神子を喰らうが良い……」
玄黯が妖しく光る数珠を鳴らすと…… 横たわる幼い少女の回りに禍々しい黒いオーラが現れる。
『グルルルルル……』
禍々しい黒いオーラは…… まるで触手の様に光る崩れた石柱に伸び始めると……
『グッ!? ガァ!!』
崩れた石柱から強大な影が飛び出した!
「ほう…… その黒い姿は…… まさに〝魔狼〟ではないか」
『ウオォォォォォ!!!』
影が強大な黒い狼に姿を変えると…… 激しい咆哮を上げて、禍々しい黒いオーラを吹き飛ばした!
『黒い狼!? あれも守護神の猛獣なのか?』
『エン!』
『くっ!?』
突然現れた黒く強大な狼に気を取られたベア王に、ヤマタノオロチの攻撃が飛ぶ!
「くっくっくっ…… その姿、貴様…… 邪気を取り込んでおるな?」
『グルルルルル……』
「抵抗しても無駄だ! さあ、この幼き神子を喰らいて…… 邪気を取り込め! 真なる魔狼になりて、ワシに平伏すのだ!!」
「ふざけるよ、妖怪ジジイ!」
「ぬ!? 何者だ!!」
「目的の為には手段を選ばないと、幼き者に犠牲を強いる…… 人、それを外道と言う…… お前に名乗る名は無い! フェアリーフラッシュ!!」
ピカーン!!!
「があ!? 目がぁ!!!」
転移で現れたカナエは、玄黯に激しい閃光を浴びせると……
「やっぱりか…… 助けに来たよ。【マコ】ちゃん」
カナエは、浄化の力を持つ閃光で禍々しい黒いオーラを吹き飛ばし、横たわる幼い神子に微笑む。
幼き神子、彼女は…… あの魔王幼女の【マコ】だった。