力を使いすぎたカナエに…… あの現象が起きた。
「あらら…… 此方でもそうなるのね」
ユメが〝テーブルの上のカナエ〟に話しかける。
「つくづく自分が魔力生命体だと実感したよ……」
「ははうえ、げんきだして!」
先の戦闘で魔力を使いすぎたカナエは…… 再び〝小妖精化〟して15㎝程の姿になってしまい、そのカナエを励ます幼女の姿があった。
「大丈夫だよ〝獣呀〟。この姿は体験済みだから」
幼女の名は【獣呀】……
あの〝獣王の大剣〟の獣呀である。
先の戦闘で、ペルティナに切り飛ばされたカナエの左腕から〝カナエの血と魔力〟を、ペルティナとの戦闘で〝ペルティナの血肉と魔力に魔薬〟を吸収した獣呀は……
ペルティナの血肉に含まれる魔薬で、暴走寸前の状態だったのだが……
カナエの魔力に押さえ付けられて魔薬に対する耐性を獲得し無効化して、カナエの血とペルティナの血肉から人化を獲得して、今の姿に安定した。
「娘達がそろって来たけど…… あの女性がジノさんとデンライ君達の倒した魔神でしょ?」
「それなんだけど…… どうやら此方の世界では、神々の争いが無かったかも知れない」
「どう言う事?」
「此方の世界では、神々では無く…… 神々と人々の争いだったのかも知れないって事だよ」
「つまり…… あっちでは、神々にアドラギースが挑んだ事がこっちでは無く…… 神々と人々の大きな争いだったって事?」
「たぶんだけど…… このフェアリーガーデンの元になった遺跡を狙ってロデスが現れた事や、今回の二人の魔神…… いや、魔に人と書いて〝魔人〟と言う感じかな? あの感じから…… 遺跡になる前の頃のフェアリーガーデンの元になった城塞と争っていたんじゃないかな?」
「そんな昔の人が…… 何で今さら?」
「きっと…… 過去で大敗して、なんらかの方法で今の時代に復活したんだと思うよ。じゃないと、このフェアリーガーデンを狙った事の説明が難しいし」
「過去で自分達が負けた物を狙ってる? じゃあ、獣王国を狙ったのも!?」
「それじゃ…… その辺りの話を聞きに行こうか? この世界の機神の〝猛獣〟達の伝説は無いのか?って」
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「此処に助け出した人達がいるけど、きっと驚くよ」
「今回は…… 私達を助けていただき、まことにありがとうございました」
先の戦闘の騒ぎで、スレイブから助け出した獣王国の人達に会いに行くと……
18歳の姿の〝リンちゃん達〟が頭を下げていました。
「うわぁ……(ヤバかった…… 危うくリンちゃん達が奴隷として売られるところだった…… 奪還を計画した過去の私…… グッジョブ!!!)」
「あ、あの~…… 何かいたらなかったでしょうか?」
過去の自分を賞賛する私に、何か不況を買ったかと心配気にリンちゃん達の視線が集まる。
「あっ、なんでないです。それじゃあ…… これからの事で、話をしましょうか?(さあ…… 此方の世界での〝猛獣〟についての話を始めましょうか)」
この世界でのリン達とカナエは、獣王国が狙われた理由と獣王国に伝わる伝説について、話し合いを始めるのだった。




