此方の世界でも…… 悪運は最凶の男
あの男の出番です!!
カナエとアピレスの戦闘の数日後……
「アピレスとペルティナは無事なのかしら?」
とある秘密実験所で、一人の女性がアピレス達の安否を確認していた。
【狂喜のイデア】である……
「そう…… 生きているなら良いわ。ペルティナ程の成功例は、ないもの……」
報告を確認したイデアは、地下の実験施設に向かう。
「忌々しいけど……〝コレ〟に適合する者が現れれば、ペルティナ以上の存在になるわ……」
イデアが憎らし気に見つめるのは、禍々しく輝く宝玉が浮いている。
「神々の力…… いいえ。私達には〝呪い〟かしらね」
かつてのイデア達を…… 追い詰めた存在の力。
その存在と再び敵対した時の為に、イデア達は…… その力を取り込もうとした。
その1つが、この宝玉【カオスストーン】だった。
「今回の被験者は適合できるかしら?」
「わかりません…… ですが、この者は…… 悪運がとてつもなく強いのです」
「悪運?」
「はい…… この者は、合成魔獣の性能を計測する試験体に選ばれたのですが……」
「生きていると…… 合成魔獣が不良品だったのかしら?」
「1度や2度ならば、そう納得出来るのですが…… この者は、666回生き残っているのです…… しかも、この者に挑んだ時だけ…… 合成魔獣や強化兵等にあり得ない様な不運が起きるのです」
「な、なるほど…… だから、悪運なのね」
「ええ…… この者ならば、死なずに適合するかも知れません」
「では、予定通りに…… この悪運さんに【カオスストーン】を埋め込みましょう」
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「俺の悪運も…… 此処までか……」
手術台の様な物に固定された男が呟くと…… 意識が遠退く。
その男の腹部に【カオスストーン】が当てられると……
「「「「「!?」」」」」
禍々しい光を放ちながら、男の腹部に【カオスストーン】ゆっくりと沈んでいく。
「ぐっ…… があぁぁぁあぁぁ!!!」
「押さえ付けなさい! 早く!?」
イデア指示で男を押さえ付け様とするが…… 男の身体から溢れ出す力と光に吹き飛ばされる。
「ぐっ…… 探しなさい! 早く!!」
光が消えると…… 破壊された手術台と大穴の空いた壁が現れて、イデアが捜索の指示を出す。
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「がは……」
手術台から逃走した男の姿は…… 併設していた兵器開発施設にあった。
「ぐっ…… ば、化物…… め……」
その姿は…… 人の姿をしていなかった。
「ウゥ……」
その男の視線の先には…… 試作兵器の戦闘ロボに可変可能なバイクがあった。
男は…… 試作兵器の銃を持ち、近くの門型の転送装置を起動させバイクに跨がると……
転送装置の操作装置に発砲して、門に突入した。
その男は【ジノ】…… 違う世界でも、最凶の悪運を持つ男である。




