フェアリエ試作超重装甲型追加武装装着モード【Gパラディン】
「ちょ!? なに今の!!」
量産型の機神の攻撃を防ぐつもりで、ユメがナックルガードの付いたフェアリエの左腕を突き出したら……
攻撃しようと突っ込んで来た量産型の機神が…… 何かに激突してえぐられた様に胴体が潰れた。
「今のは、フェアリエを守る〝超重力バリア〟に潰されたのね」
「超重力?」
「例えるなら…… 10階以上のビルから地面に叩き付けられたスイカかな? 超重力バリアの壁に何倍にもなった自重で押し潰されたみたい」
「つまり…… このこは、重力を盾にしているって事?」
「平たく言えば、そうなんだけど…… 試作中の武装で、武器も少ないから…… 気を付けて」
「私達も万全じゃあないしねぇ……」
顔色が悪いカナエを見て、ユメに緊張が走る!
「(出血での貧血の症状? カナエもだけど…… 獣呀の状態も怪しいし…… 目的は果たしたから…… 長居は無用!)撤退するよ」
「あの黒い機神…… 隊長機だから、あの機神は警戒して…… 」
ユメは、フェアリエの脚部から反重力波を出して、フェアリエを滑る様にスライド移動させ、建物の影に入る。
「撤退ルートは……」
「北東側に…… 巨大な岩が沢山の荒野がある…… そこで合流出来る筈だよ……」
「了解!」
スピードを上げたフェアリエが、街を囲む城壁の様な壁の門を超重力バリアでの体当りで突き破り!
北東に広がる荒野に突き進んだ。
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ビー! ビー! ビー!
『後方から、複数の飛翔体が急速接近』
「ミサイル多数!」
「チィ!」
フェアリエが急旋回して、後方を向きながら両腕を構えると…… メキメキ……
見えない超重力バリアに阻まれたミサイルがひしゃげた後…… ドッゴーン!
閃光と供に爆炎を上げて爆裂した。
「くぅ~しつこい! 何か…… 遠距離武器は?」
爆煙の中から、後ず去る様にスライド移動したフェアリエが現れる。
「まだ組み立てただけの試作段階だよ…… まともに動かす前の調整前に武装がある訳ないでしょう……」
その姿は…… ほぼ無傷だった。
「ちょっ、マジですか?」
「本気と書いての大マジ。本来なら…… 今作戦は、開発した量産型機神で戦闘するつもりでした」
「やはり…… 此方でも勝手に動くの?」
「乗ってる時以外では…… 中々喋ってくれないから大変なの」
「それは大変ねぇ…… で、切り札は?」
「もちろん……」
『進行方向の後方、エネルギー反応』
「このぉ~!」
ミサイルの飛んで来た方向から閃光が迫る!
「超重力バリアの出力を上げて!」
フェアリエの超重力バリアと閃光が激突すると…… 閃光が四散して周囲に激しい爆発が起きる!
「集束型のエネルギー砲撃!?」
『腕部ジェネレーターの温度急激上昇、緊急放熱フィンを展開、緊急冷却します』
「次は無理かもね…… どうする?」
「切り札を切るよ。隊長格の黒い機神の動きは?」
『大型の砲撃兵器らしき物を持ちながら、此方に接近中…… その他の量産型機と思われる機体も、私達を取り囲む様に接近中です』
「距離は…… 1キロくらいかな? なら! フェアリエ、追加武装の超重力エンジンリミッターを解除! 全身のジェネレーターを開放…… 吹き飛べ!!!」
フェアリエから放たれた超重力波は……
黒い円形の力場となって、全てを押し潰しながら広がる……
「これは…… 不味い! 緊急退避!!」
フェアリエに迫っていた量産型機神達も、その超重力の波に押し潰されるのだった。
「ダメージの高い装甲を強制パージ…… 今の内に撤退して……」
「了解…… しかし、約2キロが更地になるとは…… なんて物を切り札にしてるんだか……」
後部で機を失ったカナエに呟きながら、ユメはフェアリエを撤退させた。
「撤退ですか…… 機体とペルティナの状態を考えて、追撃は無理ですね……」
撤退するフェアリエを…… 超重力の波で下半部を潰された黒い機神のパイロット【アピレス】は見ていた。
「あ、あ~…… ヤバイ、怒られる…… 玄黯になんて言おう……」
壊した機神の言い訳を考えながら……
「次は…… 逃がさない」
闇夜に消えるフェアリエの背を見送った。




