新人冒険者の妖精少女カナエ
「あの事件から10年か……」
あの日…… カナエは人族の同期生【ターニャ】と高等学部の帰りに、ある女性の拉致事件に遭遇した。
将来を冒険者に定めていたカナエ達は、犯人達と戦闘を開始。
その時に……
「邪魔なんだよ!」
「しまった!?」
「ターニャ!」
犯人の攻撃からターニャを庇い、カナエは〝呪い〟を受けて長い眠りに就いた。
その眠りの中で…… カナエはゲームの中にいた。
ゲームの中の自分は、今と同じ妖精族の少女で…… ロボットが大好きで、魔王になったり…… 神様の仲間入りもしていた。
そして、大好き人や仲間達といろいろなロボットを作り出していた。
「その夢の中の私の城が…… 今、目の前にある!」
あの事件の眠りから目覚めて、半年……
寿命だけならば長寿族の妖精族では、カナエまだ少女の年齢だったが……
人族のターニャは、27歳で衛星都市の中堅冒険者をしているらしい……
高等学部では同期生だったが…… カナエは、数日前に新人の冒険者になったばかりだった。
「しかし…… 見た目だけならば……〝夢の中のカナエの姿〟だわ……」
事件で受けた呪いの影響か? 治療の魔力の影響か? 金色だったカナエの髪は…… 黒に変わり、その頭と尻には…… 猫の様な耳と尻尾が生えていた。
「ここは…… 小さいまま!? いっ…… たぁ~……」
カナエが、夢の中では…… 豊満だった胸部を揉むと痛みが走る。
「たく…… 全属性になったは良いけど…… 何時になれば、ここの魔力が正常化するの?」
妖精族のカナエは…… 環境などの魔力に敏感で、呪いの魔力と治療の魔力のせいか? 使える属性が全属性になっていたが……
体内の一部に、魔力の流れが悪い場所が生まれていた…… それが胸部である。
「身体に魔力が馴染めば…… ちゃんと体内を循環するって話だったけど…… この痛みは…… どうにかならないかなぁ?」
さっきのモンスターとの戦闘中も、痛かった胸部を気にしながら…… カナエは遺跡を調べる。
「やっぱり…… 夢だけど…… 夢じゃないんだ」
カナエは、夢と同じく場所に…… 遺跡の入口を見付けた。
「さて…… この〝選定の首飾り〟が本物か?どうか…… 勝負!」
この遺跡に向かう数日前に…… この遺跡近くの都市に転移する転移陣がある場所近くのバザーで、カナエは夢で見た〝首飾り〟を見付ける……
そう、遺跡の入口を開ける〝選定の首飾り〟を……
「遺跡とこの首飾りを見たら…… もう来るしか無いよねぇ~」
選定の首飾りを着けたカナエが、夢と同じ場所に立つと……
「光が!? 夢と同じ…… やっぱり在ったんだ……」
夢の中での…… カナエの戦艦【フェアリーガーデン】の元となった空中城塞都市は…… 実在したのだった。




