カナエ、衛星都市に行く!
「これって…… ちゃんと動くの?」
「何を! 今じゃあ手に入らない純正パーツだぞ!」
「純正たって、動かないんじゃダメでしょう」
亡ぼされたアニマニアの獣人達を、異常重力地帯内に破棄されたリゾートコロニー群に匿ったカナエは……
「たく…… 解った。10万だ! これより下げたら大赤字だからな」
「じゃあ買うよ」
獣人達の王、獣王デンライの行方を捜して…… スレイブとアニマニアの中間にある衛星都市にいた。
『よろしいのですか? あまり状態が良い様に見えませんが……』
「このパーツその物は使えないかもだけど…… このパーツをバラして解析すれば、さらに性能が上がるパーツが作れるでしょ?」
『なるほど…… 参考資料にするのですね』
「まあね…… で、何か見つかった?」
『ここ数日は…… 元アニマニアから往来は無い様ですね』
「スレイブの護送船を宇宙海賊が襲撃していたから…… 警戒しているのかな?」
『はい、アニマニアが滅んでからは…… かなり船の出入りが増えた様ですからね』
「ここは、直接スレイブに向かう途中にあるからね…… 襲撃犯達の溜まり場には…… 持って来いの場所かな?」
『その様です。それと旅の商人達が話していたのですが…… 元アニマニアの領地で、遺跡が発見された様です。その出土品が近々スレイブで競売に出されるとか……』
「遺跡からの出土品ねぇ…… セバスチャン達と同じ年代の物の可能性もあるね」
『話に聞くスレイブ王の人物像からは…… 貴重な物が出店される可能性は低いかと……』
「その物の価値を知らない可能性もあるけど…… この時期に競売…… 資金稼ぎか罠の可能性もあるね。何が出店されたか解る?」
『目玉は……〝獣王の大剣〟が出店される様です』
「獣王の大剣って……【獣呀】!? セバスチャン、競売の場所と日時は?」
『御待ちを…… 出店物のリストが更新された様です』
セバスチャンの目から情報が投影されると……
「これは…… まさか!?」
カナエは、見覚えがある物を見付ける。
『これは…… 私達が眠る前に研究されていた物ですね。完成していたのでしょうか?』
「日時は10日後で…… スレイブの第4都市かぁ…… セバスチャン、急ぎ向かうよ!」
『はい、出港の手続きを開始します』
「エミリーとエナに連絡……〝アレ〟の開発を開始して」
『主様、了解です』
『主、ずいぶんと急じゃない?』
「ごめん…… でも、私の推測通りなら…… 絶対に必要になるから、お願い!」
『了解、すぐに取り掛かるわ』
カナエとセバスチャンは、衛星都市の宇宙港から自分達の小型宇宙船に飛び乗ると……
衛星都市のレーダー範囲外に隠した、古代空中城塞都市を改修した母艦に舞い戻るのだった。