カナエ、出航の準備開始!
「デンライ君の行方も気になるけど…… あの海賊達が、スレイブの護送船の航路を知っていたのも…… 引っ掛かるなぁ……」
宇宙海賊が襲撃したスレイブの護送船を、捕らえられていた獣人達ごと奪取して…… 1ヶ月が過ぎた。
その間にカナエは…… リゾートコロニー群のサファリコロニーに獣人達の住居区を用意し、廃棄された通信衛星を修復して情報を集めていた。
「もうすぐ城塞都市の改修も終えるし…… そろそろ動く時かな?」
「お姉ちゃん、ご飯だよ」「ごはん♪ごはん♪」
カナエがドッグの制御室で考え込んでいると、カナエを呼ぶ声がした。
12歳のシロと4歳くらいのチミコである。
「はぁ~い、今行く♪(シロちゃんは最後に見た夢と同じくらいに育ってるけど、チミコちゃんは最初に見た時くらいなのよねぇ…… 人によって夢の時と年齢が違うのかしら?)」
獣人達の話では…… シロは、夢と同じく…… 白虎族の最後の生き残りの神子で、チミコ達の混血種は…… 親を知らない子供達だった。
獣人達と話し合った結果…… 捕らえられていた者達は、歳老いた者や女子供だけだった。
戦える者達は、獣王と供に戦場に出て…… 帰らなかったそうです。
そうな訳で……
「わし等では、神子を護れませぬ…… あなたに救われたのは何かの啓示…… 神子も、あなたと供に行くと言っております故…… 神子とわし等の運命、あなたに託します」
と、なり…… 当然、親の居ない混血種の子供達も引き取った。
「他の子達は?」
「みんなは、〝お師匠〟の所にいるよ」
チミコちゃんより大きい子達は、それぞれに希望した役割のバイオロイド達に師事して、そのバイオロイド達を〝師匠〟と呼ぶ様になった。
「そう…… ところで、シロちゃんとチミコちゃん」
「お姉ちゃん?」「なぁにぃ?」
「もうすぐ私、コロニー群から出掛けるけど…… 二人は、どうする?」
「「付いて行く!!」」
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『その為だけに…… 作ったんですか?』
「ええ……」
「大変だった……」
『お二人専用の機神……〝白虎と山猫〟を』
疲れたと座り込むエミリーとエナに、何処か呆れた様なバケツ頭のセバスチャンが見つめるのは……
カナエ達が開発していた…… 量産型機神【ガールズ】の発展型試作機神【白虎】と、フェアリエ型の試作小型機神の【山猫】だった。
「だって…… 二人を護る機神が必要でしょう?」
『未確認機体として、逆に狙われるのでは?』
「そんな…… セバスチャン、どうしよう……」
『しばらくは…… お二人の生活に機体操作訓練を追加しましょう。旅立ちは…… お二人が完全に機体操作をマスターしてからに延期です』
そんなこんなで……
カナエ達の旅立ちは、半月遅れになるのだった。




