新型量産機神の試作機の機動実験…… そういう時に限って、招かれざる者達が来るものです。
「異常重力の無効化に成功…… 宇宙空間での姿勢制御は…… なかなかに良好と…… このシート、すごい身体に馴染む?…… さすがは、エミリーとエナね♪」
リゾートコロニー群の合間を縫う様に、カナエの乗る新型量産機神の試作機が舞う。
「感覚的には…… 夢の中に近いかな? 動力部は違うけど……」
カナエの乗る新型量産機神試作機の動力部には…… カナエが見ていた夢のゲームとは違い、この異常重力地帯の原因となった……
あの〝古代式超重力エンジン〟を参考に改良した……
〝重力魔導エンジン〟を搭載していた。
カナエ達は…… この異常重力地帯で、暴走した古代式超重力エンジンの予備を発見し……
さらに……
リゾートコロニー群に停泊していた…… 当時の実験の観測をしていた無人艇も発見し、実験の観測データを入手したのだった。
その事により…… カナエは、事故の裏に隠された真実を知る事になった。
「まさか…… 暴走事故が人為的な物だったとは……」
手に入れた観測データには、作られたエンジンが……〝5機〟存在すると記されていたのだ。
「起動実験中の第1エンジンを暴走させて…… 比較的にデータが安定していた…… 第2、第3エンジンと、その2機のエンジンのデータをベースに製作した…… 第5エンジンの奪取が目的だった犯人にしてやられ…… 残ったのが、出力が安定しない第4エンジンだった訳だ」
〝重力魔導エンジン〟とは……
安定しない第4エンジンの重力子問題を、新型量産機神のサブ動力として搭載予定だった〝小型魔導ジェネレーター〟を組み込み始動を補助する事で、重力子を安定化した物だった。
「その事で…… 稼働時の機体重量軽減と攻撃の重量増加に重力波制御による重力子バリアフィールド発生…… などの副産的な性能アップしたんだけどね♪」
『もうすぐ異常重力地帯を抜けますが…… どうしますか?』
「システムは…… オールグリーン。これより予定通りに、通常宇宙空間での機動テストを開始します」
『了解、重力の影響が無いので…… 加速は慎重に』
「了解…… 先ずは出力を40%まで、段階的に上げて行こうか♪」
通常宇宙空間で、カナエは新型量産機神試作機の機動テストを開始した。
「うん? ちょっとだけ関節部の可動領域が狭い感じが…… ポーンと同じくらいの筈だけど、感覚が夢の中と同じになってるのかな?」
ビー、ビー、ビー、
「接近警報!? アレは…… 機神だ!」
新型量産機神試作機の機動テスト中だったカナエの前に……
所属不明の機神4機が…… 迫るのだった。