夢日記 2022.4.18(野菜人間は自殺する運命から逃れられない編)
私は部屋に数えきれないほどの蛇がいる中、その蛇らに噛まれながら机の上にいる蛇を、右手で持っている蛇で死ぬまで叩き続けていた。
夢の中なのに痛覚はあり、蛇に噛まれている箇所は痛みがあった。
それから、私は学校のような場所で3mはあろうかという死神に追われていた。大鎌をふりあげ、少しでも油断すれば刈り殺されるという状況。
階段を駆け下り、もう一人の名前も知らない仲間と逃げていたところ、私たちは追い詰められてしまった。
もう駄目だと思った矢先、もう一人の仲間がホースの水を使って敵をかく乱してくれたので、私はその隙に逃げた。
逃げている先で、大きな口の歯並びの良いメロンがこちらをじっと見てきていた。見てきていたとは言っても目はなく、メロンの表面には大きな口があるだけだ。口角は上がっていて笑っているようにもみえるが、警戒しているメロンは笑っている訳ではない。
私は、どこからか伸びているホースを持っていて、そのホースから出る水をメロンめがけてかけた。するとメロンは喜び飛び跳ねて警戒心を解いた。水をかければ油断させられると私は知っていた。
――こんなに喜んでいるが、いずれは人間に食べられる運命だと知らないこのメロンは哀れだな
そう思いながらもメロンに水をかけ続ける。
その付近にはメロンだけではく、色々な野菜が植えられていて、そのどれもに口がついていてメロンと同じように歯を剥き出しにして口角を上げている。
埋まっている野菜も水をかけると喜んで動き回っていた。
私は学校の校庭のような場所で死神と戦っている仲間を助けに戻らなければいけなかったが、野菜らに水やりをするのが楽しく、夢中になっていたので仲間を「まぁ行かなくてもいいか」見捨てた。
私は野菜に水を与えるということが楽しく、病的に夢中になっていた。
その畑の野菜は、逃がしてくれたその仲間が管理している畑だったのだが、昨年は不作だということを私は知っていた。
――水が足りなかったから不作だったんだなぁ……
そう思いながら、どこから伸びているのかわからないホースで私は水やりを続けていた。水を与えたところから虹色に輝きだし、その一帯が水で満たされると幻想的な風景画そこに広がった。
私は畑の横の土手に植えられている野菜に水をやっていたが、畑には知性の高いトウモロコシがおり、共食いをしていた。
共食いをしていたトウモロコシには牙が生えており、その鋭い歯で仲間のトウモロコシを食べていた。どうやら、よりよいトウモロコシになるために共食いをしているらしかった。
その知性の高いトウモロコシは人間を見つけると「神様」と呼んでいた。
「その神様と崇める人間にいつかお前は食われて一生を終えるんだぞ」と言ってやりたかったが、私はすぐに興味を失って水やりに戻った。
畑は2mほどくぼんだ場所にあり、土手が圧倒的に高い位置にあった。その畑を囲むように水路が張り巡らせてあるが、それでも土手の野菜たちには水が行き届いていないようだった。
私が水やりをしていると、その水路に行方不明になっていた村の男の子が溺れて流されてきた。私は手に持っていたホースを水路に投げ入れ、男の子はそのホースを上手く掴む。
「おーい! 大丈夫かー? 今助けるぞー!」
とかなんとか言いながら私はホースを掴んだ男の子を引っ張り上げようとした。
その最中、その水路の畑には水が張り巡らされており、田んぼのようになっていたのだが、私の友達(現実にはいない)がその水の中に入っていっていた。
水はそこそこ深く、泥も含まれているので沈んだら戻ることはできない。
私は友達の名前を呼んで、そっちへ行くなと叫んだ。
「おい! そっちに行くな! ×××(名前)! ×××!!」
そう言っている間に友達は泥の中に消えて行ってしまった。
そして、私はそこで知った。
その友達は野菜人間だったのだと。
野菜人間は自殺してしまう運命を背負っており、自殺を止めることはできなかった。
私がホースですくい上げた男の子も野菜人間だったらしく、長時間水に浸かり続けた男の子の腕と脚は腐り、切断せざるを得なくなった。
四肢の切断された男の子が磔にされて晒されている中、その男の子をいじめていた他の男の子が磔になっている男の子を小突いてたのを私は見ていた。
そこに、研究者が野菜人間の切断された足を持ってきて、野菜人間について説明してくれていた。
野菜人間は外見上は人間とほとんど変わらない。服を着ていれば違いは分からず、性器はない。内臓はなく、口から四肢に至るまで、内側は太い管状になっており、その太い管状の中は内臓らしいピンク色をして糸を引いているが、中には捕食した相手を吸収するための鋭い長い棘状の突起がいくつもついていた。
切断された足の断面を見ながら「人間と全然違うなぁ」とぼんやりと考えていた。
その村の野菜からは、時々人間のような赤ん坊が生まれてくる。
それを村の人間は野菜人間と呼んでいた。
裏ではその野菜人間の赤ん坊を自分の子供と偽装して育てようとする女もいた。
私はスイカのような中から生まれてきている野菜人間の赤ん坊をぼんやりと見ていた。
そして、野菜人間は人間と変わらずに育てられるが、野菜人間はある時期に到達すると自殺してしまう。
自殺する理由は、消費期限だ。
消費期限が過ぎた野菜人間は生きている価値がなくなり、どれだけ止めても自殺してしまう。
野菜人間は自殺する運命から救えない。
――――というところで目が覚めた。
あぁ、野菜人間は自殺する運命から逃れられないんだな……と思いながら、鳴っているアラームを止めた。
なかなか印象的な夢だったと思う。
夢の中で野菜に水やりをしている間は本当に楽しかった。
現実でも庭の薔薇やスズラン、ジギタリスに水やりをするのは楽しいので、私は植物に水をやるのが好きなのだろう。それも、目視で植物が喜んでいる様子が分かれば尚更私も楽しいと思う。
だが、植物が人間のことを「神様」と言って口達者に喋ったら恐らく鬱陶しいと思うので、口があって歯を剥き出しにして笑っている野菜は嫌だ。食べるにしても、歯の部分はどうやって取り除いて食べたらいいのだろうと思う。
野菜人間というのは意識のあるうちに考えたキャラクターではなく、私の今日の夢で初めて私も知った。
夢の世界は私の予想をはるかに超えてくる。
夢を見るのは楽しい。
夢の中の世界から出たくないとすら思う。