伝・病を祓う巫女
薬剤師と産婆が、伝記の考察をしています……。
「アンバー、巫女様の伝承……記録って何かあるのかしら?」
「記録、ではございませんが……子供向けの絵本の他に、伝記小説の類いがいくつかございます」
「では、それを見せていただけるかしら?」
「かしこまりました」
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賢帝といわれたクレメンス3世陛下の御世。
陛下には3人の皇子殿下がいらっしゃいました。
第2皇子オズワルド殿下に4人めのお子様として第2皇女殿下がお生まれになりました。
予定より少し早くお生まれになったためか若干お小さかったので、オズワルド殿下は強くお育ちになるようにとの願いをこめて「メアリー=アントワーヌ」と男児の名をつけ加えて命名なさいました。
メアリー=アントワーヌ皇女殿下は、それはもう事あるごとにお風邪を召され熱を出され……ご両親のみならずお祖父さまお祖母さまも、まだまだお小さいお兄さまがたやお姉さままで案じ続ける日々が続いたのです。
そんなある日の事です。
5歳になられたメアリー=アントワーヌ皇女殿下が高熱の出る病に罹られました。
ご親族であられる皇族御一同様は皆さま心配のあまり水すらのどを通らないありさまでした。
そこへ、どこからともなく巫女様がおいでになったのです。
『幼い皇女殿下がたいそう重い病だとうかがいまして参りました』
巫女様はそうおっしゃると、皇女殿下の様子をご覧になり、ご両親に向かっておっしゃいました。
『私の申し上げる物を私の指示のとおりに彼女へ食べさせるように』
言われた通りにしたところ、たちどころにメアリー=アントワーヌ皇女殿下は元気になり、長じてなお病にも罹りにくくなったという事です。
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「この伝記が一番具体的ね……短いけど」
「いったい何を召し上がっていただいたのでしょう?」
「これは想像でしかないのだけれど……この当時、小さく生まれた身体の弱い子に滋養のあるものを与えすぎて亡くしていたんじゃないかしら。だから『食べさせると死ぬ』と言われ、死なないようにと滋養のある物を与えられてこなくて、ただでさえ身体の弱い子が成長できずにいたと。それに気づいた巫女様が適切な栄養指導をしたんだと思うのよ。だから体力がついて病気になりにくくなったんじゃないかしら?」
「あり得ない話ではありませんね……」
さすがベテラン医療人、ってとこですかね!




