反省の色が見えないと叱られたら「それ何色?」と訊いて更に叱られるレベルでの自業自得
見た目だけは清楚なのに一皮むけばとんでもない女シンシア・グリッサムが、言いたい放題ほざき……イヤぬかし……イヤイヤ吠えています……。
あの女……アリアドネとか言ったかしら?
絶対許さないんだから。
どうしてこのあたしが……あたしだけがこんな貧乏くじ引かなきゃならないのよ。
最愛の恋人アンドリュースも、その恋人の財産も、全部持って行ったわあの女。
確かにあたしは親子以上に年の離れた大佐に望まれて、あの人と引き裂かれるように結婚したわよ。
結婚してからあの人もあの女と結婚してたけど、あたしとあの人の仲は誰にも……神様にだって裂けないんだから!
あの人がせっかく遺言相続のための遺言書を作ってくれていたのに、あたしに来たのはものすごい金額の借金だけ。
あの人が手に入れた莫大な財産はどうしちゃったのよ、高利貸しからの借金の証文なんて財産じゃないじゃない!いらないわよ!……って言っても、あたしの署名が「受取拒否不可受領書」ってのにあるから返せないんだって。
あたしがそういうのよく知らないからって、よくもだましたわね性悪女!
おかげであたし、大佐の連れ子達から籍を抜かれて無一文で家を追い出されちゃったんだから!
大佐が生きてる間はいろいろ大変だったんだから、悠々自適な生活させてくれてもいいじゃないの!
どうして日銭稼ぎのお金が右から左に流れていくだけの生活しなきゃならないのよ!
ええ「バカ」ですね。
先に恋人のもとを離れたのは、シンシアのほうです。
そのあと、アンドリュースがアリアドネと結婚しています。
アリアドネの手持ち資産は、結婚しても夫婦の共有財産にはなりません。
どこの世界でもそういうもんです。
そしてマイナス資産(要は借金)が財産なのも、どこの世界でも同じです。
……ま、強いて「だました」部分があるとすれば
「遺産は借金しかないけどいいですか相続しちゃっても?」
と訊かなかったって事位でしょうか……。
(やはり作者が一番の悪党やな)