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19 元婚約者は生涯幽閉になったようです

 お父様からアンドリュー殿下の今後について話された。


 知らなかったで済む話ではないが、国庫の金に手をつけていたこと。お忍びで正体を明かさずに娼婦と遊んでいたこと。社交界でも悪い噂……といっても事実なのだけれど……が流れたことから、今後国政に手を出させるわけにも、城をうろつかせる訳にもいかないとして生涯幽閉が決まったらしい。


「これには、お前への不誠実な態度への罰も含まれている。本当にすまなかったと、陛下も仰っていた」


「アンドリュー殿下は……きっと一生私を逆恨みするでしょうね」


「そうだろうな……、それについては私も悪い。本当に、お前に損な役回りをさせてしまった……申し訳ない」


 お父様の言葉に私はほろ苦く笑うと、首を横に振った。


 逆恨みされてもいい。得るものもあった。おかげで……本当に素敵な方から、待っていて欲しいと言われた。


「……私生児は産まれたりは?」


「娼婦はプロだからな、予め堕胎の支度はして仕事をしている。令嬢たちも、殿下の子の気配はないという事だった……汚い言い方になるが、アンドリュー殿下は種無しだったようだ。まだ救いだな……」


「まぁ、……それは、また。その事実を知って野放しなら、いくらでも手を出して回りそうですね」


 私は軽く冷笑すると皮肉に言ったが、お父様は難しい顔だ。


「そんな安易な話ではない。もしお前が嫁いでいたら……、お前のせいで子ができないと暴れていたかもしれないぞ」


「それは困りますね……言いそうなところが、また、なんとも」


 たとえ浮気をしなくとも、元の性格は変わらないだろう。


 今となっては破談になってよかったと思っている。国のためだとか家のためだとかで婚姻しようとしていたが、いくらなんでも今回の件は容認できない。


 国民の血税をそれと知らずに使い込むなど、何も信じる事ができない。せめて、浮気するにしても優秀であればよかったのに……、なんて思ってしまう。


 優秀ならば、私……ネルコム侯爵家を敵に回すこともなかっただろうし、もともとうまくいくはずも無かったのかも。12歳の子の本質を見極めて……、なんて事は中々難しい話だ。まして、色欲の方面など。


 何から何まで噛み合わなくて、辛い時期だったが、私はまだ18歳だ。


 3年努力もした。今後、どこに嫁いでも恥ずかしくない、とお父様も太鼓判を押してくれている。


 後は国が密かに騒がしいのが落ち着いてくれるのを待つだけ。


 待つのは、得意だもの。


 私の事を見てくれる、心優しいあの方ならば……、私は喜んで嫁ぎたい。


 まだお父様には言っていない。きっと難色を示すかもしれない。


 でも、待つのは得意だけれど……こんな時にそばで支えられないという立場も辛いので。


 今回はともかく、次はお側で少しでもお役に立ちたい。私はクレイ殿下のことを思いながら、お父様の部屋を出た。

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