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竜神の宮殿

視界が暗転した後、あたりを見渡せばそこは白亜の宮殿だった。

これは転移的な能力だろうか。

それにしても、これが竜神の神殿か。古代ローマ的な意匠に見える。

こういうのって、異世界同士でも影響を受けるんだろうか。


「ふむ、儂の神殿を目にした只人は何かしら大げさな反応を見せるんじゃがな、お前は違うのう」


あ、なんかオーバーアクションするべきとこだったかね。

うーん、まあ見たこと有るって感じでごまかすか。


「あー、美しい神殿とは思いましたが、転移前の世界で近い様式の建築を見たことがあったもので、そのせいかもしれません……ちなみに、今のって転移ですか?」


「ククク、やはり世界が違えば只人と言えど変わってくるのう。それと、言うておらんかったな。儂はこの山脈の中はこの腕輪で転移が出来る。儂の特製じゃぞ」


ドヤ顔で鈍い銀色の腕輪を見せつけてくるヨーキ。

くっそ、ドラゴンのドヤ顔って初めて見たな。いや、生ドラゴンを見たのがそもそも初か。


でも転移いいなー、ファストトラベル要素は欲しいよなー、ガチャででないかなー。

……いかんいかん、こんな考えは物欲センサーに引っかかる。


「クククク……物欲しそうな顔をしおってからに。儂の宝物庫には転移に関する物もいくつかあるぞ。酒と棒と、あとは笑わせてくれた褒美じゃ。後で使い捨てのものをやろう」


「いいの!?やったぜ!!ありがとうヨーキ!」


竜神様ばんざーい!

外れレアを使えるアイテムと交換してくれるとか、竜神様マジ神!!

……いや、本当に神だったわ。

しかし、でも転移直後に出会えたのはラッキーだったなあ。


「クク……お前、気づいておらんかもしれんが、ガチャや道具の話になると敬語が抜けるのう」


……やべっ。確かにそうかも。怒らせたかな?


「あー……慣れ慣れしかったですよね、スミマセン……」


「よいよい。カツヤよ、お前なりに敬意を払っておるんじゃろうが、そもそも儂は面倒な言い回しは飽いておる。元より、口調で人間の敬意をはかろうとも思わんしな。お前の楽な話し方をするといい。」


「え、ほんとに普通に話していいの?怒って殺したりしない?」


「するわけなかろう。せっかくの面白い異世界人じゃぞ、もったいない。ただ、儂も神としての威厳は保たねばならんからな。最低限の敬意を忘れるようなら相応の態度をとるぞ」


うっ、調子には乗らんようにしとこう。


「ええっと、わかったよヨーキ。でも、こっちの文化はサッパリだからまずい事があったら教えてほしい」


「うむうむ、その時はまずは警告しよう。して、この世界の事を知りたいのじゃったな。サーシャよ、此方へ」


ヨーキがそう言うと、背の高い女性が現れた。

これも転移っぽいな、ちょっとドヤ顔してるし。

着ているのは巫女服に近いけど、上下白で統一されている。神殿に合わせてるのかな。


「お呼びでしょうか、ヨーキ様」


「うむ、まずは紹介しよう。異世界から転移してきた只人で、カツヤと言う。儂の客人として招いたのでな、こやつに客間を一つをあてがってくれるか。併せて、この世界の事を教えてやってくれるか」


儂の客人、と言われた瞬間に目を見開いてた。

驚くところ、異世界転移じゃなくてそっちなんだ。


「……畏まりました。では、まずは自己紹介をさせていただきます、カツヤ様。私はフリンツ王国の竜巫女、サーシャ=エル=トアスと申します。神殿に滞在なさる間のご要望は、わたくしにお言いつけください」


「ええっと、カツヤです、お世話になります」


フリンツ……大金貨がガチャで出てたな。北東だったか北西だったか、まあ後で聞こう。

竜巫女ってことは、SRの短刀や杖も元はこの人たちが使ってる物なのか。


「サーシャは只人の巫女の取りまとめをしておるでな。先ずは只人の事から知るのが良かろう……では、頼んだぞサーシャ」


取りまとめって事はそこそこの年齢なのかな。20前後にしか見えないけど。

まあ、女性に年齢聞くのもなあ。


「それではカツヤ様、客室に入る前に浴場にご案内致します。まずはそちらで身をお清め下さい」


言われて気づく。

そういえば野山を駆け回って結構汚れてるんだった。

純白の床に土や葉が落ちている……悪い事したな。


「……ご迷惑おかけします」


「ああ、只人はちょっとした事で汚れるんじゃったなあ。サーシャ、手間をかけるが頼んだぞ」


龍神は汚れないのか。

……いや、なんかアイテムの力ではなかろうか。

なんとなくだが、ヨーキは装備関係ではマウント取りたがりな感がある。


「他ならぬヨーキ様のご客人です。お気になさらないでください。さあ、こちらへどうぞ」


聖域になんてことを!的な感じで怒られる事はなさそうでよかった。

取り合えず、お言葉に甘えて風呂につからせてもらおう。

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